Flight Following

クロスカントリー等の一定以上の距離へのフライトの場合、ATCへFlihgt Followingを依頼します。これは義務ではありませんが、安全のために出来るだけ頼んだ方が良い、とされています。米国でのプライベートパイロットのページの中でも、あまりFlight Followingについて説明されたページがありませんでしたので、以下にまとめておきます。

概要
Flight FollowingとはATCの空域において、VFR機がATCにフライトのフォローを依頼することです。依頼が確立すると、ATCのレーダー上に識別表示され、周囲のトラフィック情報や必要に応じて目的地までの方向等についてのアドバイスが受けられるようになります。言わばVFR機が、少しだけIFR的に飛ぶことが出来るようになる訳です。これは、ATCにとっても義務ではなく、IFR機の処理に余裕がある時に受け入れられます(断られることもあるそうです)。一般的には、離陸前にGroundに依頼してタワーから必要なSquawk Codeをもらう(Tower空港の場合)か、離陸後にATCに依頼(Non-Tower空港の場合)することで開始し、目的地の空港を視認を報告した時点で終了します。

コンタクト
LA周辺は、一定高度以下のClass E空域はSocal Approachが管轄していますので、その空域のセクターのSOCAL APPにコンタクトを取ります。他の地域ではCenterにコンタクトを取ることになります。コンタクトのタイミングは空港での出発前か、離陸後はATC空域内であれば、いつでも構いません。タワー空域内であれば現在の交信相手に、Class Eであれば、チャート上で自分が飛んでいる場所に最も近いSOCAL APPにコンタクトを取ります。いずれの場合も、Squawk Codeが発行されれば、それがFlight Followingが受け入れられたことになります。

Class Eにおけるコンタクトの手順は以下の通りです(P=Pilot、A=ATC)。

P: Socal Approach, Cessna11630 request (機番を伝えリクエストする)
A: Cessna 11630, go ahead
P: Cessna 11630 is Cessna 150, 5 miles west of Lake Mathews, 3500, request flight following to Ramona airport. 5500 (機種、位置、高度、目的空港、巡航高度を伝える)
A: Cessna 630, say your type (機種を聞かれる場合もある)
P: Cessna 630 is Cessna 150
A: Cessna 630, squawk 2457 and ident (トランスポンダーのセットとIdentを指示される)
P: 2457 & ident 630
A: Cessna 630, radar contact, 6 miles south east of Corona Airport, 3800. Advice any of altitude change. Altimeter 3001 (レーダーで捉えたことを確認、高度を変更する際は連絡すること、空域の高度計補正値を伝えられる)
P: 3001, 630 (確認了解を伝える)


得られる情報
コンタクトが確立した後は、必要に応じて情報がATCから与えられます。内容は以下の通りです。

1.Traffic Advisory
周囲の他の飛行機の状況が伝えられます(基本的機能です)。

A: Cessna 630, traffic, 3 o'clock, 4miles northbound, 3500
P: Looking for traffic, 630 (視認できない場合)
P: Traffic insight, 630 (視認出来た場合)

2.Flight Advisory
他機や空域に応じた針路、高度が伝えられる場合があります。

A: Cessna 630, fly heading 350, maintain 6500
P: 350, 6500, 630
A: Cessna 630, resume own navigation (自機によるナビゲーションに戻ること)
P: Resume own navigation, 630

3.Weather Information
目的地や航路上の気候が伝えられる場合があります。

4.Navigation Advisory
目的地が分からなくなった場合等に、方角等を聞くことが出来ます。


セクターの移管
ATCは、それぞれの周波数で一定の空域を管制しています。この空域を超えて飛行する際は、周波数の移管を指示されます。その際、コンタクト時に報告した内容は管制官同士で伝えられます(改めて通報する必要はありません)。

A: Cessna 630, Contact Socal Approach 114.5 (次のコンタクト先名、周波数を指示される)
P: 114.5, 630, gooday (了解の旨を返信)
P: 周波数を変更する
P: Socal Approach, Cessna 11630, level 5500 (次の管制官に機番、高度を伝える)
A: Cessna 630, roger, area Altimeter 3002 (了解と空域の高度補正値が伝えられる)
P: 3002, 630 (了解の旨を返信)

Class EからClass B, C, D等の空域に入る際も同じように移管が行われます。


降下に関して
最初に通報した巡航高度に達した後で、上昇・降下する場合はATCに連絡が必要です。例えば目的空港に接近して降下する場合は、以下のように通報します。

P: Socal Approach, Cessna630, request VFR descent to 3000 (VFRでの降下を要請)
A: Cessna 630, VFR descent approved, descent at pilot's discretion. Report airport insight (パイロットの判断での降下の許可と、空港を視認した際の連絡を指示される)
P: descend to 3000, 630

他機が周囲にいる際や、レーダー範囲を超える場合は降下待機や条件付き降下を指示される場合があります。

A: Cessna 630, standby descent this time, due to traffic
A: Cessna 630, descent to 4000, radar covers to 4000 this area


フォローの終了
Flight Followingは通常、目的空港が視認出来た時点で終了となります

P: Socal Approach, Cessna 630, Ramona airport insight. (空港視認を報告)
A: Cessna 630, roger, radar service terminated. Set squawk VFR. Frequency change approved (フォローの終了及びトランスポンダーを1200にセットすることを指示され、周波数の変更を許可される)
P: Roger, 630, gooday (了解の旨を通報)

周囲のトラフィックの状況によっては、即座にフォローが終了しない場合もあります。

その他
Flight FollowingはATCにとってあくまでもエキストラのサービスであり、またパイロットにとっても義務ではありません。ATCから断られる場合もあるため、Flight Followingを当てにした飛行計画を立てないこと、また承認された場合も一義的責任は全てパイロット側にあること(ATCはアドバイザリー=助言のみ)に注意する必要があります。パイロットにとっても義務ではありませんが、安全性の向上のため、こうしたサービスを頼まない手はありません。

Flight Followingの依頼先は、APPやCTRになります。定期旅客機との交信が飛び交う中で、自分も同じように相手をしてもらい指示を受け飛ぶのは、なかなか面白い経験です。それだけに邪魔にならないよう、交信や飛び方にも一層気を使う必要があると思います。

詳細は、以下のアーティクルが詳しいです。
A SafeAir1 Safety Series Article by Tony Munday

*ご指摘をいただき、不正確だった部分など一部内容を改訂しました(2011/08/03)

0 件のコメント:

コメントを投稿