フライトスクールの選択について

ライセンスを取得するためのトレーニングを行なおうと思ったら、まずはスクール探しになります。いろいろな情報がありますが、私の場合は当地(カリフォルニア州ロサンゼルス郊外)に滞在していますので、実際にスクールを訪問する事が出来ました。と言っても、電話で問い合わせたのが3校、実際に訪問したのが2校だけでしたが。

概要
スクールという言葉で誤解していましたが、フライトレッスンは、飛行機を借りて、教官を予約して教わる、というのがどこでも基本のようです。つまり同乗教育では、機体のレンタル料+教官の授業料が時間当たりの費用になります。グラウンドスクールは、教官の授業料だけです。またフライトスクールに限らず、アメリカでは支払いにアカウントという概念がよくつかわれます。簡単に言えば、口座を持ち、そこにお金を預け入れ、毎回の料金はそこから引かれるという考え方です。アカウントのデポジットが一定額以上ならば割引(ブロックレート)が適用されるスクールが殆どのようです。
これらを踏まえたうえで、スクールを選択する条件としては、
  1. 教官の質
  2. スクール・機体の質
  3. 料金設定
 が重要になると思います。

教官の質
教官の良し悪しまで分かるほどの経験はありませんが、取っつきやすいか否かというのは、重要かもしれません。これは、スクールで体験飛行を申し込むと、良いでしょう。お勧めの教官を教えてもらって担当をお願いしたり、Webページ等に教官の紹介があれば、それを参考にこちらから指名する事も出来ます。教官の質というよりも相性だと思いますので、良い教官というのは人それぞれでしょう。
訓練機をC-150などの小さい機体を選択する場合、教官の体格・体重も重要になってきます。私の場合は、体験飛行(C-172)で担当してくれた教官を、訓練飛行でもお願いしようとしましたが、彼が巨漢でC-150では一緒に飛ぶ事がほぼ不可能(燃料搭載量がとても少なくなる)なことが判明し、教官を変更しました。

スクール・機体の質
・スクールの質
スクールの雰囲気は、場所によって大きく異なりました。指紋採取の時に訪れたロングビーチのスクールは大規模で、都会的で洗練された雰囲気でしたが、わがスクールはこじんまりとし、何とものどかでフレンドリーな雰囲気です。当たり前かもしれませんが、そこに行って楽しいと感じられるかは重要な気がします。わがスクールは、小さいながらも明るい雰囲気で、ロビーにはコーヒーとクッキーが置かれていて、またミネラルウォーターも無料で冷蔵庫にあるものをもらえます(決してものにつられた訳ではないですが)。細かな点としては、土日もやっているかは大きな違いになると思います。私が検討したあるスクールは月~土が営業で、日曜はお休みでした。今のスクールは日曜もオープンしています。
・機体の質
スクールにメカニックがいて、100時間点検を出来るかどうかは、機体の稼働率にかなり違いが出ると思います。スクールによっては、別の空港まで点検や修理に出向く事もあるようです。当然ですが、整備状況にも違いが発生すると思います。わがスクールは、同じ経営者のメンテナンス会社が隣にあり、スクールの修理工場という感じで機体の整備が行われています。グラウンドスクールの時に教官と訪問して、機体の構造をメカニックに説明してもらったりもしています。スクールを訪問した時には、機体を見せてもらうと良いと思います(空を飛ぶ機械というイメージとは異なって、ずいぶんとクラシカルな機体が多いと思いますが)。

料金設定
・機体
肝心の料金ですが、スクールによってまちまちです。スクールの中でも、機体の年式(同じC-172でも40年近い製造年の違いがあります)や装備によって大きく違います。スクールを選ぶ時に、自分の選択したい機体が訓練の時間にレンタル可能か(予約でいっぱいだったりしないか)なども確認しておくと良いと思います。忘れやすい点としては、燃料のサーチャージの有無や、その料金などもポイントでしょう。
・教官
教官の料金もスクールによってかなり違います。機体が安くても教官の授業料が高かったり、逆だったりと色々のようです。やはりほとんどが教官との同乗教育ですので、機体と合算していくらかが肝心です。また機体も同様ですが、キャンセルした場合の取扱いも確認しておいた方が良いかもしれません。

私の経験談
・ネットの限界
私のスクールを選択した経験ですが、どのスクールもそれほどホームページなどWebでの情報発信にはそれほど積極的で無い印象を受けました。スクールに通うようになって実感しましたが、空の男はあまりそうした細かい作業が得意ではないようです(笑)。メールをしても返信がなかったり、来ても1週間経っていたりとあまり商売っ気は強くない印象です。
卒業生の評判
卒業生の話は重要かもしれません。私は、Webページをお持ちの方にメールを差し上げ、通われていたスクールについてお伺いしました。結果的のそのスクールにはしませんでしたが、大変具体的で参考になる情報を教えていただきました。
・スクール訪問
何はともあれ、実際に訪問するのが一番早いと思います。電話でアポイントを取ってからと思いましたが、結論から言えば、突然訪問しても問題無かったと思います。スクールによっては、誰もいない時もあるようなので、直前に電話をして確認するくらいが良いかもしれません。その際は、訪問して何をしたいか(教官に話を聞きたい、機体を見たい、体験飛行をしたい)などをはっきり伝えておく二度手間にならずに良いと思います。

全般的な感想ですが、どのフライトスクールもビジネス的な意味でのサービス精神は、あまりありませんでした。いかにも無骨な空の男といった感じです。それでも、こちらが飛行機や操縦に興味があるということが分かると、とてもフレンドリーな対応をしてくれました。今のスクールは、訪問した時に駐機中の全機体を見せて回ってくれたこと、スクールの雰囲気が小さいながらも明るいこと、みんなが仲良く楽しそうにしていることを決め手としました。

17 件のコメント:

  1. 英語のレベルはどれぐらい必要ですか?あまり英語に自身ないんですが。多分中学レベルかもしれないですが。笑

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  2. 先日TOEICの単語集を見ていたら、ATCでも使われる単語がかなり出ていました。なので、TOEICの勉強は役に立つ気がします。また、こちらで習う勉強内容をあらかじめ日本語で予習しておくと、英語が不得意でもインストラクターの話す内容が、大体理解できるのではないでしょうか。後は、アメリカ人はこちらが英語が得意かどうかに関係なく話すので、必要なのはそれに負けない気力でしょうか(笑)。

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  3. 半年後にアメリカに免許取得に行こうと思っております。只今53歳セミリタイア組です。
    素晴らしいサイトに巡り合え、早速日々活用させて頂いています。
    本当に有難うございます。

    そこで本題ですが、英検2級程度の英語力なのですが日本人のいないスクールに入学するのは余りにも大胆でしょうか?
    努力次第でなんとかなるものなのか、全くの無謀なのかそのあたりが全く分かりません。
    一応一般会話ぐらいなら不自由(つたない英語ですが)なく生活できるのですが、パイロット免許取得となると如何なものかと思っています。
    無謀でないなら出来れば日本人のいない環境で3ヶ月間過ごす方がいいかなと思っておりますが、逆に意思の疎通が出来ずに無駄な時間や技術向上の妨げにならないかと心配しております。

    宜しくお願い致します!!

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  4. tsujiさん、はじめまして!

    免許取得、いいですね。免許を取るということの効率性だけを追求するので無ければ、私は日本人のいないスクールで取るのは賛成です。

    懸念されている「意思の疎通が出来ずに無駄な時間や技術向上の妨げにならないか」という点ですが、予習しておけば問題はないと思います。私は学科を勉強してWriting試験に合格してから習いだしましたが、それをやると教官が教える話の知識は頭に入っていますので、理解が進んだと思います。特に専門用語などはあらかじめ本で読んで理解しておけば、話に出てきてもあわてる必要はありません。

    座学に関してですが、ボランティアで都内でお教えするという話が少し進んでいます。一応、地上教官のライセンスも取得していますので、お役に立てればと思っています。もし実現するようでしたら、ご都合があればよろしければいらっしゃってください。

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    1. お返事有難うございます。
      このサイトの影響を受けて、早速FlyCoronaとDuBoisにこのぐらいの英語力ですが生徒として受け入れてもらえますかとメールを出したところ早速両校とも「是非いらしてくださいと」いい返事を頂きました。
      基本的にはこの両スクールのどちらかにしようと思っています。
      この年齢からの免許取得なので職業としては考えておりませんし、計器飛行も多分取らないと思います。日本で書き換えぐらいはするかもしれませんが、飛ぶことは考えていません。基本的には免許取得後は年に数回卒業校やアメリカの他の空港に行って飛ぶ事を重要と考えています。
      一人で近くのホテルに宿泊し、レンタカーか自転車?での通学、立地条件や取得中・取得後の環境等々、FlyCoronaとDuBoisどちらの方が僕には適しているでしょうか?
      宜しくお願いします。

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  5. 二つのスクールですと、
    Fly Corona
    フレンドリー、適当、明るい、Cessna

    DuBois
    まじめ、常連率たかい、Piperが主

    といった違いでしょうか。近くにホテルやスーパーなどがあって便利なのはCoronaです。航空用品店(Aircraft Spruce)も近くにあります。ただ、この二つは車で2,30分なので、どちらもそれほど変わらないと思います。

    また、台湾や香港、ヨーロッパなど、海外からの学生が多いのはCoronaです。さらに細かいですが、駐機場所から滑走路までの距離、空港から訓練空域の距離もCoronaの方が近く、その分、訓練時間が短めですむかもしれません。DuBoisはそれらの点は不利ですが、なにごとにつけて比較的真面目、機体の整備状況も良いといったメリットはあると思います。

    記事にも書いていますが、インストラクターとの相性が大きな要素ですので個人差がありますが、その上で私だったらDuBoisにするかなと思います。ちなみにCoronaは、3月に経営者が変わっています。

    ご参考になれば、幸いです。

    追伸
    一点、どのビザで入国、トレーニングを受けるかは留意されてください。

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    1. ビザの件ですがB1或いはB2を考えているのですが、M1の方がいいのでしょうか?
      両校からのメールではB1-2でもOKで、週18時間までなら受けられるとのことなんですが如何でしょう?
      どちらにしても一度現地を下見し、最終決定しようと思っています。
      順序としては、Writtentest勉強、合格レベルに達したら渡米し健康診断・Writtentest受験、スクールの下見、スクールの決定・入学手続き、AFSPの申し込みで一時帰国。再度渡米でレッスン開始と考えていますがこの順番で間違いないでしょうか?
      宜しくお願いします!!

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  6. 私は駐在中だったので、ビザについては考える必要はありませんでした(訓練がOKか確認はしましたが)、訓練目的で渡米される場合は、ご自身の判断ということになるかと思います。色々な解釈がありますので。現実レベルでは、両校とも、M1ビザ発給機関ではありませんが、それで問題になったことは、私の知る限りではありません。

    手続きの手順については、問題ないと思います。特に、一度Writtenとスクール下見・決定で渡米出来るのは理想的かと思います。一点だけ、AFSPの手続きに関しては時間がかかります(一概にどれだけと言えないところが難しいですが。私の例は拙ブログをご参照下さい)。渡米と渡米の間隔設定は気を付けた方が良いと思います。

    また、AFSPは最後のプロセスで指紋採取があり、その後、通常3,4日で訓練の許可が出ます。この辺りもスケジュールニカミされたら良いかと思います。

    これかのご準備、楽しみですね。Writtenの問題などで質問があれば、分かる範囲でお答えします。高度・専門的な内容にはCFI Japan(www.cfijapan.com)の上田さんの方が詳しく説明してくれるかもしれませんが。私も一応、Ground Instructorなので頑張ってみます(笑)。

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  7. ご無沙汰しております。
    4月上旬に渡米。takuさんのサイトの影響でFlyCoronaに決め、通い始めて10日が経ちました。
    ウルトラライトの経験もあり実技の方は順調に行っているのですが、オーラルの方がいったいどのぐらいのレベルを要求されているのかが全くわからず不安な日々を過ごしています(笑)。
    Writtenは既に合格し(97%)たのですが、インストラクターとの会話の中でも日本語ではある程度理解しているものの英語ではなかなか説明できない状態です。
    オーラルの日本人の合格率は何%ぐらいなのでしょうか?
    何かいいアドバイスがありましたらお教えください!!

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  8. 日本在住会社員2013年5月6日 11:34

    はじめまして。
    仕事の関係で秋口に纏まった余暇が出来、この機会に自家用操縦士
    免許取得にチャレンジしようとフライトスクールの情報を収集して
    おります。非常にためになる情報満載で、重宝させて頂いております。

    訓練先として、近場で気候が安定しているホノルルを第一候補に考えて
    いるのですが、貴ページを拝見してクロスカントリーの幅や学校の
    雰囲気に惹かれ、いっそのことLAまで行ってしまおうかと考えている次第です。

    そこで、そもそもPart141にすべきかPart61でも良いのかがはっきり
    しないのですが(International StudentはM1を発行出来るPart141に
    しろと書いているサイトもあれば、Part61でも飛行時間の上限付き等
    で受け入れてくれるような学校HPの記載も見受けられます)、辻様は
    どうクリアされましたでしょうか。

    また、B1/B2ビザで観光ついでにFlyCoronaに通った場合、どの程度の
    日数と訓練費+滞在費がかかるかご教示いただけると大変助かります。

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  9. Taku様、辻様
    はじめまして。
    当ブログを拝見し、FlyCoronaで8月末からトレーニングをしようと計画しているChikaraといいます。
    FlyCoronaのHPを見て50Hで$7,189くらいを目安としていたのですが、FlyCoronaからの返事ではPKG-Priceはいろいろ変更して$10900となって
    いるとメールが来て面食らっています。
    特に①同乗時間が50時間に増えていること
      ②機材レンタル費がC150で$89から$105にアップしている
    ことです。(これ等は未だWEBには反映されていません)

    お伺いしたいのは、
    ①最近Part141取得に関連してFlyCoronaの方針が何か変わったのかご存知でしょうか?
    ②最近の機材レンタル事情です。C150で$105、C172Nで$119は
     一般のレンタルとしてはこんなものだろうと思うのですが
     TrainingSchoolとして妥当なのでしょうか?
    よろしくご教授ください。

    PS:
    Vsaに関して、いろいろ調べるとPPL VFRのみはB2でもOKのように読めます。但しFlyCoronaからは ESTAでは駄目でB1orB2なら15H/WeekのペースでOKとのことでした。(Webでは22H/Week以下となっています。)

    最近の辻様の状況アップデートいただけると大変参考になりますので
    よろしくお願いいたします。



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  10. 自己フォローです。
    FlyCoronaは2012年末に
    Southern California Flight Academy (http://www.iflyscfa.com/)
    に変わった様で、http://www.flycorona.com はオブソリート
    しているようです。

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  11. 2013年9月10月、2014年4月中旬から6月14日までDuboisでトレーニングを行いました。
    雰囲気はtaku様のおっしゃる通りフレンドリーでしたが、結論から言うと”日本からの短期渡航でのライセンス取得には適さない”です。Duboisは合格率が悪かったので、最近やり方を変えたとのことですが、チェックを厳しくしただけで受験ノウハウがあまりなく、間延びして無駄な時間を飛ばされるような感じがします。グライダーの経験もあり、英検2級、TOEIC770で、渡米前にCOM1・VFRやラジオのトラフィック情報を問題なく聞けていたので、5~60時間でとれるかなと期待したのですが、TWRの南カリフォルニア省エネ発音にてこずり、ソロに出るまでに59.5時間かかりました。クロスカントリーはすべてVFRフォローイング。結局、必要経歴を満たすまで81.9時間、Checkride readyまでに92.6時間飛んだものの、その間20日間ありながら試験官を手配できないというオチで今回は帰国となってしまいます。10時間無駄。途中Flight Reviewの為にいらしていた日本人のCFIの方もやり方を変える前でしたが英語に苦労され取得までに82時間ほどかかったとのことでした。FAAエンドースメントとIACRA登録は完了したので、再渡米するか、日本でFAAイグザミナーを探すか検討中です。

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    1. 当時の記憶ですが、Duboisはまじめで、しっかりと時間をかける、Fly Coronaは適当ですが、効率的な感じがしました。Duboisは社長のポリシーがありましたが、CoronaはInstructorごとに全く違う印象でしたが。

      短期渡米の繰り返しは、長谷川さんの例でもなかなか大変なことも多かったかと思います。下のコメントで無事にライセンスを取得されたようで安心しました。

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  12. 肝心なことを忘れていました。
    日本のライセンスに書き換えるには、米国でもログブックの内容は日本と同様にする必要があり、記入方法もそれに準じることが必要です。更にXCのパターンにも条件があるようなので詳しくは上記の上田さんのサイトを参照してください。いま、冷や汗をかきながらチェック中です。ログブックも日本のものを使った方が良いかも。

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    1. 私も2012年に日本でのライセンス書き換えました。九段下の航空局まで出向いてログブックの現物+コピーを確認してもらったりしましたが、担当官はとても好意的でした。

      書き換えを考慮される場合、重要なのは、日本のログブックを使用しておくこと(楽天でホーブンから取り寄せました)、トレーニング時のログブックの記入は、インストラクターに事情を説明して飛行時間の欄を鉛筆書きでしておくことでしょうか。この辺りは、アメリカでの試験の際に問題になるのでややこしい部分があるのですが。

      学科試験(法規)を受けたり、記録を取ってはいたのですが、書き込む手間を惜しんでそのままにしてしまいました。帰国後の免許書き換えも大事(不安)な要素ですよね。

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  13. すっかりサイトのメンテナンスを怠っておりまして、Chikaraさん、辻さんにはご迷惑をおかけしました。

    Chikaraさんが最終的にライセンスを取得されるまでのコメントをいただいておりまして、読み進めて安心しました(笑)。また、有意義な情報、ありがとうございます。FAAのルールや、スクールの運営など目まぐるしく変わっているようで、私が書いた情報もだいぶ時代遅れになりつつあると思います。自分の備忘録としてもう少し保管しておくつもりですが、あまり参考にされませんように。継続されている上田さんのサイトなどが参考になるかと思います。

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