2010年9月16日

スタートは体験搭乗

9月4日(土)にフライトスクールに出かけてきました。実は、その以前も別のスクールに出かけて話を聞いてきました。基本的な情報はホームページ等で入手できるのですが、どうもフライトスクールというのは、ホームページの充実にはあまり力を入れていないようです。また、どこも基本的なシステムとして、飛行機のレンタル、教官の時間当たり価格から、訓練費用が決定されます。つまりは、飛行機をレンタルして教官をレンタル(ブッキング)して、その費用を支払うという形のようです。スクールは教官にとっての置屋さんみたいなものですな。

さて、説明を聞いた際に、今日中に体験搭乗も出来るよ、との事だったので、思わず30分の体験搭乗を申し込みました。30分の体験搭乗と言っても、その前後のインストラクションが付いています。まずは、C172の飛行前点検から。最初に機内に入って、基本的な計器の説明。と言っても、体験用は最新鋭の機材で、正面にはGarmin社製のG1000の大型液晶画面が鎮座しています。それ以外のマスタースイッチや灯火類の説明を受け、機外の点検へ。確認した事を記憶を頼りにまとめると、次のような内容でした。

左胴体(コクピット外部)の点検
  • スタティックポートの状態は正常か

左翼の点検
  • ピトーの状態は正常か
  • 翼の全面の形状が正常か
  • フラップ(下ろした状態)で異常は無いか、操舵用のロッドにわずかな遊びがあるか
  • エルロンのヒンジに異常が無いか、操舵用のロッドにわずかな遊びがあるか 
  • 航法灯とストロボは正常に作動しているか
左胴体の確認
  • 胴体にへこみなどはないか
尾翼部の確認
  • エレベータの翼の形状、ヒンジ、操舵用ロッドの確認(エルロンと同様)
  • ラダーの翼の形状の確認
  • 航法灯は正常に作動しているか
右胴体の確認
  • 胴体にへこみなどはないか
  • 緊急位置通報用のビーコンのアンテナは正常か
右翼の確認
  • 左翼の確認と同内容
エンジン・プロペラの確認
  • 翼のブレードにクラック等はないか
  • インテーク内に異物はないか
燃料等の確認
  • 燃料の量を両翼上部の給油口を開いて確認
  • 両翼下部各5か所にある燃料確認口に燃料チェッカーを入れてサンプル採取(水等の混入確認)
  • エンジン右側ハッチを開いて、オイルの確認(量、汚れなど)
この時は、オイルが若干少ない(6:単位は?)という事で、(2単位)補給しました。ミニマムはと聞くと、「2単位だが、いつも最大限入れておく方が安心だ」との事でした。これに限らず、「車と違って、何かあっても止まって確認が出来ないから、出発前に出来る限りの確認をするんだ」という説明が印象的でした。

機内に戻ってからは、チェックリストにしたがってエンジン始動前の点検を行い(手順はあまり覚えていません。バッテリーのチェックその他をやりました) 、やがて教官が窓から顔を突き出したかと思うと、かなりの大声で「クリアー」と叫び、エンジン点火。私が機長席(左席)に座っているので、こうした手順は指示されて自分の手で行います。車のエンジンと同じ感じで、あっさりと回転開始。その後もチェックリストにしたがって若干の点検を行った後、「ランナップフィールドで次の点検をする」との事でいざ移動。

セスナのタクシーですが、初めての印象はかなり難しいものでした。つい操縦竿でエルロンを動かしてしまいますが、正解は足でのラダー操作。ペダルはラダーとブレーキの両機能がついていますが、これがなかなかうまくいきません。教官が横で補正してくれていることもあってか、自分の分でいる感覚とは違うように進んでいきます。これは難しい。

滑走路わきのランナップフィールドでは、エンジンの回転を高めたりして、またもやチェックリストにしたがって点検を進めます。これは、チェックリストを入手してじっくり見ておかないと、手順がおぼつかないような気がします。やがてチェックが終わると、その場で360度回転して、周辺を飛行している飛行機の状況を確認。首を回すより確実なのですね。最終進入中のセスナ機があったので、一応教官に報告(とっくに気が付いていたとは思いますが)。その機が到着後、教官が無線で滑走路進入を報告した後、滑走路へ。「Let's Go」とひとこと言われました。

その前に、「55ノットになったら徐々に操縦竿を引いて、60ノットを超えたらさらに引いて」 との事だったので、それにしたがいました。感慨を味わう間もなく離陸。地面が遠ざかっていきます。意外だったのは、意外と機種が上がっている感覚があること。セスナでもこんなに上を向くんだという印象でした。離陸後すぐに上下左右に揺すられました。「今日は風が吹いている」との事でしたが、正直、少し怖いほど。こんな風の中を自分の操縦で飛ばすことが出来るのか、不安がよぎりました。

地上500フィートに達したら左90度旋回してクロスウィンドに入れと、これも出発前に説明がありましたので、この辺かなと勝手に判断して旋回開始。何度まで傾けて良いか、などの細かい話は全くなかったので、25度程度にしてみました。特に何も言われず。やがて、「左に90度旋回して、フリーウェイの上を飛べ」との事で、それにしたがいます。そのころには乱気流もおさまり、揺れもなくなってきました。

「はじめて飛んだ感想はどう」と聞かれますが、あまり感慨もありません。こういう時は、大げさに喜んだ方が良いとは頭で思うのですが、離陸直後に揺れて不安だったのもあり、そっけなく「I'm flying」と答えたのみ。これが、飛行中の頭は、地上の6割しか働かないという事かと、よぎりました。英語を使う時点で、日本語の頭の6割程度、さらに空中で6割というと、本来の36%しか頭が働いていない事になりますが、まさにそのくらい頭が回らない感覚でした。唖然としているように見えた事でしょう。

そのまま上昇を続けろと言われたのですが、上昇の姿勢や速度などについての説明は一切なし。なので、「速度はいかほどでしょうか」と尋ねると、78ノットとのこと(この数字、記憶が曖昧です)。操縦竿を押し引きして、出来るだけその速度を保つようにします。やがて、「正面の湖が見えるか」と聞かれたので、「Yes」と返答。「そこが訓練空域だ。そちらにヘディングを向けてくれ」というので、若干右に舵を切ります。こう書くといかにも自分が操縦しているようですが、まったくの適当で操縦するのみ。教官が細かく修正を入れてくれていたのでしょう。ここで気がついたのは、上昇中の真正面は後傾姿勢であること、飛行機の鼻(エンジン部分)が邪魔で殆ど見えません。本当はいけないのでしょうが、湖が見えないという事は、正面にあるはずと思い、そのまま飛ばしていきます。確か高度は4000フィート程に上昇していたはずです。

湖が間近になると教官が、「胃は大丈夫か」と尋ねてきました。何となく察しはつきましたが、「大丈夫」と答えると、教官は操縦竿をいきおい良く前に倒し切りました。遊園地の垂直落下系の乗り物に乗ったようなマイナスGの感覚と、目前に広がる地上の光景。横では、ニヤッと笑う教官。絶叫系の乗り物が大の苦手な私にとって、離陸後に引き続いて「こんなことは無理かもしれない」と思う瞬間でした。教官に「こんな事もトレーニングではしないといけないのか」と尋ねると、「トレーニングではこんなことはない。もうやらないよ」と言うので安心はしましたが、本当でしょうか。失速訓練ってこんな感じなのでは、と憂鬱な気分に。

その後、湖上空に到達して、旋回してご覧というので、旋回をしたり。「スティープターン」というのはこうやるんだと言って、横に45度傾けた旋回を始める教官。自分の側(左側)が下なので、左の窓からはやはり地面が。多少怖かったですが、先ほどのマイナスG程ではなく。今回の怖さの原因は、もしドアが開いたら怖いだろうなあ、という感じのもの。嫌なので、「僕もやってみる」といって、逆のスティープターンをしてみました。エルロンとラダーの合わせ方も教わってなかったので、「両方バランスを取らないといけないんでしょう」と聞くと、「その通り」と一言。どのようにとは教えてくれなかったので、適当に足を添えつつ回転してみたり。「うまいうまい」との教官の言葉に、気持ちをくなったり。

そんな事を5分ほどしていると、「もう時間だから戻る」とのこと。「あの山の稜線が地面に降りる場所を目指せ」とのことで、そちらに向けて帰路へ。やがて、これから降下するという事で、スロットルを絞り(スロットルは全て教官が操作していました)、徐々に降下へ。その途中、教官は場を和ませようと思ったのか、日本からか、自分の知っている日本語は、などといろいろ語りかけてくれますが、離陸直後からの36%脳のままなので、的確な返答は全くできず。「You know Japanese Well」などと中学生並みのリアクションをしながら、やがてトラフィックパターンへ。

また風が強く、大きくゆすぶられながら、フラップを指示に従って降ろして行きました。ベース、ファイナルと入り、そろそろ操縦竿から手を離してと言われることを期待しつつも、結局着地まで言われず。何となく気持ち操縦している気になりながら、着地へ(もちろん、実際は教官が操縦していたのでしょう)。ブレーキをかけろというので、このタクシーウェイから出れるかと思って強めに踏むと、「次の出口で出よう」とのことで、ブレーキから足をはなしたり。やはりブレーキ、車輪の動きは難しい。

滑走路を出てからも、ヨタヨタと走っては教官に修正(というか、自分では全く直進できず)されながら、何とか駐機場へ帰還。エンジンを切り、駐機位置へと教官と二人でプッシュバックさせ、係留用に両翼(支持棒みたいなのが出ている付け根)2か所と尾翼下1か所の計3か所をチェーンで地面とつないで終了しました。

気になったのは、貸してもらったヘッドセットがマイクを唇に付けるくらいにしないと音を拾ってもらえないこと(一定以上の入感時のみインターコムがオンになるようです)、このマイクの位置決めが難しいことでした。これは、自分専用のものを買った方が良い気が。

教官に、「楽しかっただろ」と言われ、6割脳に戻りつつある頭で「I am so nervous」と答えると、wasだろと訂正されました。いや、まだ緊張してるのですがと思いながら、「Yes, I was」と適当に調子を合わせ、さらに、「これは興奮した、すごい経験した」と、こんなことを言ったら喜ばれるかというような内容を口にしてみました。自分でも冷静なのか、浮ついているのか、全く分からない状態でした。

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