2010年12月11日

ロングクロスカントリー[フライトトレーニング21]

先日、初めてのロングクロスカントリーに出かけました。これは、ビッグトライアングルと呼ばれるもので、出発空港を含めて3ヵ所をまわり、全体で150nm以上、さらに1区間は50nm以上を飛行することと規定されています。このビッグトライアングルは、Soloフライトの要件としてあり、最後の実技試験までに飛んでおかねばなりません(プライベートパイロット取得のための飛行条件参照)。

この日のNavlog(飛行計画)は、Excelで作成したもので、当日の風向風速予報の数値を入れればできるようになっていました。朝出発前に入力、印刷をし持っていくことができて、便利でした。これを元に、Elianがフライトプラン(FSSに提出するもの)の作成方法と、これを基にしたウェザーブリーフィングの方法について、実演してくれました。ウェザーブリーフィングは天候や航路情報を教えてくれるもので、専門用語に慣れていないとなかなかついていくのが大変そうです。ちょうど予定航路上に火災による飛行制限が出されており、その空域では制限以下に降りないよう、打ち合わせをしました。

この日のルートは、Corona(KAJO)-Ramona(KRNM)-Redlands(KREI)-Corona(KAJO)というものでした。最初のレグであるCorona(KAJO)-Ramona(KRNM)は、途中まではFrench Valleyに行った時と同じコースをたどります。しかし途中から先は初めてのコースとなります。これまでのミニクロスカントリーでも思いましたが、初めての場所での飛行はかなり気を使います。特にこの日は、Haze(もや)がひどく、初めて5500feetに上昇したこともあって、細心の注意を払い現在地点を把握することに努めました。こうした時も、時々Elianは「現在地は地図上でどのあたり」や「今エンジンが止まったらどうする?」と質問してきます。とにかくフリーウェイを視界から外さないようにして飛行しました。

ところで、目標物を設定する際、飛行機の真下は死角であることに注意する必要があります。当たり前のことですが、小さな池などは上空からは分かりやすいですが、近付くにつれ見えなくなります。これは少し厄介です。また、機体左側より右側のほうが見づらいです(左席に座っているので)。一番良いのは、フリーウェイから少しずれたところにライン取りをし、沿って飛ぶことのようです。また、計画上の区間距離は位置を把握するのに重要ですが、毎回腕時計を見るのもなかなか大変でした。Elianがiphoneでストップウォッチを出してくれましたが、こうしたものがあると便利だと思いました。

Ramonaは牧場の中のかわいらしい空港でした。ここでもあまり納得をいかない着陸となりました。そのままタクシーバックして、滑走路端で次のフライトのNavlogに切り替え、すぐに出発しました。今度は6500feetまで上昇して、Redlandsまで行きます。今回は途中までは先程のルート(厳密には違いますが)を通り、それから先は、フレンチバレー、レイク・ペリスと経由します。全てのルートをGoogle Earthで確認していたので、フレンチバレー上空からレイク・ペリスが見えることは確認してありました。次のポイントが見えていると、安心してフライトが出来ます。

この辺りで少し余裕が出て、Elianとお互いに聞きたかった事を質問し合いました。Elianからは、何しにここにきているのか、仕事は、子供はいるのか、など。こちらからは、アメリカ生まれか、将来はエアラインのパイロットになりたいのか、などを聞きました。驚いたのは、Elianはまだアメリカに来て10年と9日しか経っていないこと、完全なカリフォルニアンだと思っていました。さらに驚いたのは、来た時は12歳だったということです。彼、30前後だと思っていたのに。年の割には落ち着きはらっています。18でフライトスクールに1年間通い、それから3年間フライトインストラクターをしてきたそうです。総飛行時間は1600時間。航空会社に応募していて、もしかしたら来月にも決まるかもしれないとのことで、さらに驚きました。しかも「3年教えて来て、教えるのにはもう飽きた」そうです。教えるのではなく、飛行機を飛ばしたいとの事でした。

そんな話をしていると、すぐにレッドランド着陸のための降下地点へ。先のレグもそうでしたが、長めのフライトはフライトフォローイングを頼むとのことで、降下をリクエスト。「Request VFR Descent」と告げると、途中までの降下指示がきました。これは他機が下の高度にいるというということだそうです。フライトフォローイングでは、高度に関しては具体的な指示を出してくれます。ヘディングなどは自分で判断して飛びます。やがて空港が見えると、こちらから「Airport Insight」と告げると、そこでフォローイング終了と周波数変更の許可が指示されます。

レッドランド空港では、ミッドポイントでクロスウインドに入り、そのままトラフィックパターンへ。荒涼とした山が空港の東に迫り、狭い印象を受けましたが、何とか着陸までたどり着きました。滑走路もずいぶんと下り勾配でした。何だか山岳地帯の空港のような印象です。もう一つ印象的だったのは、空港周辺を飛行していた2,3機が全て日本人パイロットだったこと。レッドランドは日本人の訓練生が多いのでしょうか。

最後のレグも、到着後そのまま出発。出発前、滑走路端には、離陸後1マイルでSan Bernardino空港の空域である旨の看板が掲示されています。その通りに、出発後すぐに
「San Bernardino Tower, Cessna11630 departed Redlands, transition to west」と連絡。フリーウェイ10号の南を飛ぶように指示され、その通りにします。ここからは住んでいる場所の近くなので、土地勘もあり安心です。距離も短く、飛行予定は15分ほど。高度は2500feetとこれまでの2レグに比べてぐっと低くなります。 ここでElianがVORをセットし、Paradise VORに向けて飛ぶようにとのこと。そのままVOR上空を飛び越え、Corona空港上空まで。さらにミッドポイントでクロスウインドに入り、着陸。実質10分少々で到着しました。


こうして、総フライト2時間6分のクロスカントリーは、想像よりあっさりと終わりました。それぞれの空港でエンジンを止めて休憩でもするのかと思っていましたが、ドアすら開けずに飛び立ちました。

課題は、ATCでした。SOCAL Approachにフライトフォローイングを頼むことを知らなかったこともありますが、ずいぶん慌ててしまいました。こちらのコールサインを早口で言ってしまい、コントローラーが聞き取れなかったり、言うべき項目を全部伝えていなかったりなど、抜けが目立ちました。一人でのクロスカントリーの前には、こうした点を修正する必要があるとElianに指摘され、こちらからもロールプレイング方式で、ATCのグラウンドスクールをして欲しいと依頼しました。


まだまだ、完成度を高めなければいけない項目は多いようです。

同乗教習:2.1時間(累計24.4時間)
:計器0.0時間(累計0.6時間)
:夜間0.0時間(0.6時間)
単独飛行:0.0時間(累計2.3時間)
総飛行時間:26.7時間
着陸回数:3回(累計101回)
:夜間0回(累計5回)
地上教習:0.3時間(累計15.6時間)

教習内容は、次の通りでした。
  • Cross-Country
    • Navigation
    • Radio Communication
    • Normal  Landing

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