2011年1月30日

余分なクロスカントリー[フライトトレーニング31]

チェックライド間近になって、改めて日本のパイロットライセンスへの書き換えにつ いて調べていたところ、単独クロスカントリーのビッグトライアングルが日本では270km必要との記述を発見しました。270kmはマイルに直すと167マイル程になりますが、前のビッグクロスカントリー飛んだコースの距離は151マイルしかありません。書き換えの条件には、距離が足りなかったことになります。また、ライセンス書き換えについてのページを見てみると、単独飛行の定義は、ライセンス取得前までのソロフライト(取得後は単独ではなくPIC=機長となってしまう)という記述も見かけました。これは単独飛行扱いとなるライセンス取得前に、もう一度飛び直しておいた方が良いでしょう。ということで、Elianに依頼して、クロスカントリーをもう一度飛ぶことにしました。

・・・もう気が付かれた方がいるかもしれませんが、上の話は間違いです。270kmが167マイ ルなのは、Static Mile(sm:陸マイル)の話で、航空機で使われるNautical Mile(nm:海里)では、146マイルになります。つまり、この飛び直しは必要が無かったことになります・・・。また単独飛行、機長飛行の扱いですが、国交省の航空局に電話して尋ねたところ、ライセンス取得後の機長時間であっても、単独飛行扱いをするとのことでした。

そんな事も知らなかったので、余分なクロスカントリーをしてしまいました。良い経験になったので、結果から言えば良かったのですが。
ロサンゼルスダウンタウン
区間は、KAJO(Corona)-KCMA(Camarillo)-KSBD(San Bernardino)-KAJOというトライアングル。Elianと事前に計画し、プランを見てもらってEndorsementをもらいました。Camarilloは前回の夜間フライトで1回飛んだだけの場所、San Bernardinoに至っては全く初めての訪問になります(これまで3回行ったRedlandsのすぐ隣ですが)。

最初のレグは、前回のナイトクロスカントリーと同じルートです。ところが、昼間ということで、トラフィックの数が全く違い、Chino Towerから移管されたSOCAL APPはものすごく忙しい状況です。早口でまくし立てており、Flight Followingを頼んでも返答は全くありません。その場合、高度を2700feet以下に抑えてOntarioのClassCに入らないようにしなければいけなかったのですが、ナイトフライトの手順が頭に残っており、ついそのまま上昇してしまいました。これは空域侵犯ということで、重大なミスです。再度Flight Followingを依頼し受け入れられましたが、その後トラフィックの処理に一息ついた管制官からラジオで注意を受けました。管制官いわく、「自分もStudent Pilotだが空域へ入る時はもっと注意深くしないといけない。今回のはすごく良くなかった」。すなおに「分かりました。すみませんでした」と謝ったところ、「行き先のCamerilloは良い空港で景色もきれいだから楽しんでおいて」とのフォローの言葉をもらいました。
5500feet上空からサンタモニカ方向を望む
移管後は、これでもかとStudent Pilotを強調し、Followingを受けつつ進みました。Burbank周辺では出発機との関係で空港上空に近付いて飛ぶ事を要求されたり、反対にLAダウンタウン方向にふられたりと、いろいろ指示を受けつつも、何とかCamarillo空港までたどり着きました。Camarilloでは「1500フィートで滑走路上空を通過してからトラフィックパターンに入ることを予定するように」と指示を受けました。出発・到着機ともに込み入っているようです。ところが、近付いたところで、前のPiperに続いて。No.2と言われました。これは進入許可ということと理解し、滑走路に向けて降りていきます。Piper機が着陸寸前なので、出来るだけ速度を落として距離を保つようにします。やがて、Piper機が滑走路から出て、こちらもFinalな状況になりましたが、着陸許可が出ていません。Towerに確認すると着陸許可が出て、安心して着陸出来ました。

滑走路を出るとGroundにコンタクトし、タクシーバックの許可を得ます。一度曲がり角を通り過ぎて、再度Groundにタクシーを要求しつつ、ランナップ地点までたどり着きました。同時に10機近く入れるランナップエリアがあります。ここでナブログの差し替え、計器の確認をしていたところ、左翼の燃料計が0に近いことに機がつきました。右翼はまだたっぷりとあります。燃料計の不具合だと思いましたが、万が一にも給油口のキャップが閉まっていなかったり、燃料漏れなどがあれば、大変です。再度Groundにコンタクトを取り、Transient Parkingまでのタクシー許可、さらにこの空港に詳しくないので、Transient Parkingの場所が分からないと伝えところ、タクシー許可と誘導路の白い線をたどっていけばTransient Parkingとのこと。分かりやすい仕組みで良かったです。

パサデナのローズボール上空
これまでのクロスカントリーはいつもタクシーバック、即出発だったので、Transient Parkingに入ったこともありません。どこに泊めて良いのかも分からず、邪魔にならなそうな隅に止めてエンジンを切りました。早速、給油トラックが2台近付いてきました。どうも2社が入っていて、競争のようです(笑)。1台のトラックの作業員に事情を説明し、梯子を借りて燃料タンクを確認しました。やはり燃料はしっかり入っていました。燃料はあるので、給油の必要はありません。梯子を借りた礼を言い、今回は燃料は必要ないと伝えました。相手は「No Problem」と言って、どこから飛んできたのか、昼はもう食べたのか、ここの空港のレストランはうまい、と教えてくれました。私もStudent Pilotでクロスカントリーの練習で飛んできた。今日はもう出発した方が良いけれど、ライセンスが取れたら、また飛び来たいと答えました。「次は機長として会えることを」、そう言って握手してから、彼はトラックに乗って去っていきました。
エンジェルスマウンテン
さて、気持ちを落ち着けて出発です。エンジンを始動し、Groundに滑走路までの許可を取り、再度ランナップまでタクシーします。不思議なことに、そのころには燃料計が正しく表示するようになっており、その他のチェックも問題なく、Groundに出発準備完了を告げ、Towerに移管され出発を待ちます。ランナップで先に並んでいた同じくC-150の次に離陸。先行機はずっと同じ方向を飛んでおり、交信の良い見本を示してくれました。
KCMA-KSBDは山の南縁に沿って飛びます
移管されたMugus Approachでも先行機の後について行きます。Flight Followingも今回は素直に受理されます。行き先をSan Bernardinoと伝えると、「That's Good」とのこと。先行機が途中で変針し、ちょうどその航跡を横切る形になりましたが、確実に乱気流を感じました。こんな小型機でも後方乱気流が起きるということを実感しました。帰路もBerbunk近辺でヘディングを振られます。前方を降下しながら旋回するB737が横切りました。ATCからは「Caution for wake turbulance」と言われます。C-150ですら揺れるので737だとすごいことになりそうです。相手は降下しながら旋回していたので、出来るだけ航跡の上を通過するよう、針路を調節して通過しました。おかげで乱気流は全く感じませんでした。
オンタリオ空港
その後は問題なく飛行し、降下もしてSan Bernaridino空港が見えるところまで来ました。ATISを取った上で、Rialto空港上空でTowerにコンタクトを取ります。空港1マイル北で連絡するようにとの返答をもらい、降下を続けていきます。3,4マイル程になったところで連絡が入り、現在地を聞かれました。空港のすぐ北まで来ていたのですが…。場所を伝えて、空港の真上を通ってDownwind進入の許可をもらいます。Downwindで報告すると、着陸許可が出ました。

この空港、国際空港で、滑走路も3000mあるにもかかわらず、全くヒマそうです。私の到着時にも、ほかにどの飛行機も飛んでいませんでした。着陸して、タクシーバックを要求します。同じ管制官がタワーのままで許可を出してくれます。空港にはTristarと747がハンガーに入っているのが見えます。改修工事の会社があるのでしょうか。
KSBD-KAJO間の景色

滑走路手前で準備をし、Coronaに向けて飛行する旨を伝えます。すぐに離陸許可が出て、出発しました。San Bernardinoのお隣のRedlandsから、このルートは何度も飛んでおり、地形も分かっています。途中Riverside空港にTransitionの許可を取り、そのまま通過します。Coronaでは同じタイミングで北からの到着機がありますが、こちらはStudent Pilotであることを伝え(別に必要なかった気もしますが)、先に行ってもらいます。交信だけでなかなか姿が視認できなかったのですが、先行機がベースに入ったところでようやく視認しました。Downwindをしっかりと取っているようです。

先行機がいる場合、先行機のFinalとこちらのDownwindがアビームになるまでDownwindを延長する事になっています。自力での初めてのExtend Downwindを行ない、Base、Finalとまわって行きます。普段と距離が違うので、降下を調整しながら、フラップを順次出していきました。ASOSで風がほぼ向い風ながら10ノット以上出ているのも掴んでいました。これだけの風で1人で降りるのも初めてです。中心から多少ずれてしまいましたが、クラブ、デクラブとやって着陸が出来ました。
リバーサイド空港
以上、注意されたり、トラブルが発生したりといろいろありましたが、自力でLAの中心地脇を横断する事が出来、それ以外にもたくさんのことが学べたクロスカントリーでした。空の楽しさだけでなく、厳しさも多少分かった気がします。
到着後の機内
同乗教習:0.0時間(累計32.1時間)
:計器0.0時間(累計3.1時間)
:夜間0.0時間(3.6時間)
単独飛行:2.1時間(累計12.2時間)
総飛行時間:44.2時間
着陸回数:3回(累計135回)
:夜間0回(累計10回)
地上教習:0.0時間(累計22.4時間)

2 件のコメント:

  1. 今回初めて貴ブログを拝見致しました。
    最後の総飛行時間を見て驚きました。
    44時間の飛行時間でアメリカの空でこれだけのことができるなんて!
    大変な努力をされているのでしょうね。私も頑張らなければ。
    これからもたまにブログへお邪魔させていただきます。

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  2. コメントありがとうございます。

    趣味の世界ですので、努力をしている訳ではないのですが、私にとっては楽しく夢中になれる世界です。ただ、プロを目指している方々とお話すると、目的とする高みが違うというか、アマチュアとはいえ学ぶことはとても多いです。

    今後とも、拙ブログへ遊びいいらしてください。

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