2011年2月1日

チェックライド後半戦&結果は合格[チェックライド2]

今日は、前日に引き続いてのチェックライドです。昨日は気を引き締めていましたが、そのような状態が長く続くはずもなく、何となく今日はのんびりとした気持ちでした。朝9時にChino空港集合ということで、新しいナブログや天候を用意して出かけます。
朝の濃い霧
空港に向かうフリーウェイでは、かなりの霧に遭遇しました。これで飛べるのでしょうか。Chino空港の試験管であるMarkがCEOを務めるビジネスジェット運行会社にたどり着きましたが、空は全く低い雲に覆われています。Elianが来るのを待ち、一緒に会社の会議室に入ります。Markもちょうど到着し、挨拶。早速1時間天候待ちの提案がElianからありました。LorneとGabrielはまだ来ていません。彼らには、延期の連絡が行っていたようです。なぜ、こちらには寄こさぬ、Elian。

パソコンで仕事をしながら、携帯で天候を確認して過ごすこと1時間。LorneとGabrielも到着し、入れ違いにElianは帰っていきました。Markの提案で、皆で外に出て天候を目で確認する事にしました。南の空から徐々に晴れだしています。もうしばらくだろう、ということで、私はC150の飛行前点検を実施します。ビジネスジェットの並ぶ格納庫に入れてもらっており、ジェット機との大きさの差がかわいらしいほどです。一通り確認が終わってから、LorneとGabrielに手伝ってもらいながら格納庫の外に飛行機を引っ張り出します。C172は外に放置で、C150だけ中に入れてもらっていました。
ビジネスジェットのハンガーにちょこんとC150が
外に出てから、燃料量の確認。はじめてハシゴなしで確認しましたが、ステップと取っ手を使っても、飛行機というものはつるつるとしていて掴まる出っ張りがなく、よじ登るのは大変でした。昨日から、少ししか飛んでいないので、燃料は18Gallon残っていました。会議室にいるのも退屈してきたので、荷物を飛行機に積み込み、LorneとGabrielと世間話をしながらときどきATISをチェック。すると、長引いていたIFR状態から、Chino空港が抜けだしました。しかしOntario空港は、引き続きIFR状態のままです。それでもOntario空港の方の空も徐々に雲が取れてきています。その先の山もうっすらと見えてきました。
チャレンジャーの整備中のエンジン
天候を Markに報告しに社長室に行くと、「じゃあすぐ行こう」とのこと。Gabrielからは、今日は君が先でいいよと言われていたので、Markが早速やってきて、すぐに私の試験開始となりました。
雲が徐々に取れてきました
昨日の試験で、ある程度信頼してもらえているのか、エンジン始動後は、「自分がタキシングする。君はチェックリストを実施してくれ。」とのことで、あっという間にスタート。グラウンドに天候が悪くても出発する説明と、OntarioのMidfield Transitionも依頼してくれ、自分としてはかなりの負担がなくなりました(笑)。ランナップもさっさと済ませ、タワーにコンタクト。さすがにここからは、私がATCを担当します。Ontario空域通過のためのSquawkをもらい、許可があるまで右旋回しないようにと言われつつ、離陸許可。昨日は滑走路進入前の注意が不足だったと言われたので、しつこいくらいきょろきょろ見回してから滑走路に進入、離陸します。右の26Rからはヘリコプターが同時離陸。このために右旋回の待機指示が出ていたのでした。ヘリコプターが右旋回して去り、こちらにも右旋回許可とOntarioへのコンタクトの指示が出ます。
Gabrielの訓練機スクールの古豪C172
Ontarioからも、すぐにTransitionの許可が出ますが、行き先がかなりの悪天候であることを連絡されます。「練習空域にちょっと行って帰ってくるだけだ」とMarkが答えてくれます。空港上空には2000feet前後に雲が広がっています。「その上を行け」とのことで、はじめて雲の上を飛びます。幸い、下の空港と、その先のチェックポイントであるフリーウェイ210/15は見えています。Transition Altitudeの2500feetで上昇を止めるとMarkに説明し、その高度を維持。しばらくすると、Markから「そろそろ、上昇許可をもらって上がろう」とのことで、その旨リクエスト、許可されます。
C172のクラシカルなコクピット
「クロスカントリーの記録は?」、Markに突然聞かれて、慌てました。飛行前にナブログを確認されるだろうと思ってニーボードでなく、別のフォルダに入れてありました。また、離陸時間も記録していません。仕方が無いので、12分に出発しましたと告げつつ、ニーボードのメモ用紙に記録。後ろを振り返ってフォルダからナブログを取るのも良くないと思い、「ナブログの最初の部分は記憶しています。Chinoから最初のチェックポイントOntario上空までは5分、次の210/15インターセクションまでは4分の予定。Ontario上空は予定通り5分で通過。」と報告しつつ、記入します。実はこの時間、全て適当に答えました(笑)。大丈夫だったようで、 「それではクロスカントリー終了。SOCALにフライトフォローイングのキャンセルを伝えてくれ」とのこと。
C172の室内(C150と比べると広々として見えます)
 その後、Hood Workを実施。気流の乱れもなく、特に問題なく上昇、旋回の組み合わせをこなします。続いて、異常姿勢からのリカバリー。Elianに習った通り、速度が減少していればフルスロットル、増加していればアイドルとエンジン操作から回復操作に入り、これも問題なく終了。
つづいて、いよいよストールです。「3つのストールを順に見せてくれ」とのことで、まずはパワーオンから。最初に速度を十分に低くしなかったため、早めの速度でのストール操作になりました。Elianから教わった通りに徐々に操縦桿を引き続けると、速度があるためかなりの迎角に。ストールしてりカバーしたところで、「少しアグレッシブ過ぎるな。ピッチを20度で止めておけば、いずれストールするから」とお手本を見せてくれました。次のターニングストール、パワーオフストールは問題なし。幸いにも気流がとても良く、操作がやりやすい状態でした。

3つのストールが終わり、レベルに戻ったところで、「ダイバートする、Rialtoに連れてってくれ」と言われます。Rialto空港はすぐ見えていたので、「あそこに見えている ので向かいます」と答えると、「いや、まずは地図の上で確認してくれ」とのこと。地図上で、現在フリーウェイ210の上空、地図上でこの位置です。最も近 い空港はRialtoで、この方角です(指をさしただけ)。そこに向かいます」と答えると、「パーフェクト」との返事が。

Rialto空港のUNICOMに周波数を合わせ、位置(Over 210/15)、高度と着陸の意図を通報。ここで、トラフィックパターンを左と勘違いし、「midfieldを通過し、左ダウンウインドに入る」と伝えてしまいましたが、これも特に問われず。そのまま降下していると、Markがエンジンをアイドルに。「アッオー」。Engine Failureということなので、口に出して、Best Glide Speed、then Best Landing Place, this time Rialto Airpot, Check for・・・と続けていきます。回り込んでRwy27に降りようとしたところ、「手前のRwy9の方がより安全だ」とのコメントで、そちらに決定。ちょうどRwy9のLeft Base線上の位置にいたので、ピッチを下げてどんどん降下しながら、フラップを出しつつまわります。かなり高いので、滑走路を少し入ったところに着陸しようとしたところ、「勇気を持って高度を下げよう」といわれ、低高度にもかかわらず思い切ってピッチを落とします。「それでいい。みんな怖がるが、非常事態では思い切った操作をすべきだ。今の操作は素晴らしい」とのこと。もう少しで着地というところで、「Go Around」の指示が。フラップを上げつつ、上昇していきます。ここでも、「すぐに上昇する必要はないから、十分に速度をつけてから」とコメント。さすがに百戦錬磨のエクザミナー、一つ一つのコメントが論理的で、全くもって納得できます。

上昇し始めると、「じゃあChinoに戻ろうか。戻り方は知ってるね」。「再びOntarioのTransitionの許可をもらいます」と告げると、「帰りは、Riversideの空域をまわって帰ろう」との返事。想定外の事態に焦りながらも、慌てているところを見せないように、「チャートで確認するので、その間操縦をお願いできませんか」と提案。OKとのことで、チャートで位置関係を確認し、少し遠周りでも良く知っているFreeway215に出てから帰ることを提案。すると、「それでもよいが、せっかくなので良いルートを教えてあげよう」。「あの山の間を通るとRoubidouxなので、そこを抜けていこう」。「Ontarioの空域の下を通るので、2700フィート以下で進みます。」と答え、指示通りの方角へ。Riversideの周波数(想定していなかったのでメモしておらず、チャートから読み取り)に合わせ、2000フィートで進みます。「すぐそこがRoubidouxだから」とのことで、Riverside TowerにRoubidoux上空、2000フィート、TransitionでChinoまでの許可を取ります。

TowerからはIdentを要求され、すぐにしますが山の谷間のせいかレーダーに映らないようで、心持ち高度を上げつつ再度Ident。「今レーダーコンタクトした」との返事が。Markには、「あの道をまっすぐ進むとChinoにたどり着くと教えてもらい、目を凝らすと、もやのある視程の先に格納庫が。「Airport Insight」と伝えると、「Riversideにも伝えてやってくれ」とのことで、その旨交信します。すぐにChinoへのコンタクトの指示が出たので、Markに「ATIS」を聞くべきかと尋ねると、「出発時のATISを通報しよう。違っていれば、言ってくるだろう」とのこと。この辺りのアドバイスも、とてもなるほどと思えます。ATISは出発時と同じ、「X-ray」で大丈夫でした。

Chinoからストレートインの許可が出て返答したところで、「君は合格だ」とあっさりと言われました。「ここからは私が操縦する」とのこと。世間話をしながら、着陸に向かいます。世間話となれば、聞きたかったのは、私が最初に何歳に見えたのか、ということ。昨日は私のことをYoung Manなどと呼んだあげく、年齢を聞いてとても驚いていたので。「20、21くらいだと思っていた」とのことで、思わず「No Way」と呟きます。そんな話の合間にも、せっかくなので飛行時間26,000時間をエクザミナーの操縦ぶりを観察。フラップを40まで降ろすので、「昨日コメントをもらったソフトフィールドのお手本を見せてくれるのですね」と尋ねると、「いや、ショートフィールドを見せるつもりだ」と笑って返されました。見事に滑走路端に接地し、直後にフラップアップ。さすがに軽やかな手つきです。そのまま会社のランプまでタクシーし、握手をして、あっさりと試験が終わりました。

「部屋に戻ってペーパーワークをしよう」とのことで、様子を聞きに来てくれたLorne、Gabrielと話をするのもそこそこに、社長室で仮免許証発行の作業に。しかし、画面メニューのProcess Temporary Licenseという項目をクリックできずにMarkが戸惑います。「You have problem with your paper work」。いや、私じゃなくてあなたがでは、と思いつつ、「その項目ではないかと思いますが」と「Enter Practical Test Result」という項目を指さします。やはりその項目に入力しないとライセンスを印刷する事は出来ないのでした。「How smart, why you know」などと言いながら、プリントアウトした書類を渡してくれました。
2日間、長時間詰めた会議室
その後、会議室で実技試験の講評。「離陸の際、風に流された時にエルロンで修正したが、地上付近ではもう少しラダーを多用して修正した方が良い。」「Power On Stallは出来るだけ現実に即して練習するには、やはりピッチは20度で止めた方が良い。このストールは離陸時を想定したものだから。」「Emergency Landingの際は、より安全な選択肢があれば、それを選択すべき。多少のTail Windでも、近い方の滑走路の方がより良い選択肢だ。」「それ以外は、ATC、Hood Work、Navigation、どれもとても良く出来ている。」「特に良かったのは、関係する周波数をメモにまとめていたり、地図を使いやすいサイズに折りたたんで用意してあったり(Elianから習った技です)、必要な情報を良く整理して準備していたことだ。」 とのこと。そして「Conguratulation, Pilot」と、あらためて握手。Elianに言われたとおりに封筒に入れて用意しておいた$500を手渡しました(ちなみに、試験に落ちた場合、再試験料は$250/回だそうです)。

再度外に出て、Gabrielに試験内容を早速伝えます。「かなり試験項目は少なかった」と伝えると、Gabrielはにっこりとほほ笑み、LorneはCoronaへフェリーしようと乗りこんでいたC150から顔を出して、「タコメーターが昨日から1.2時間しかまわってないぞ」。実質の試験時間は、2日間合計でも1時間以下だったようです。Markは、チェックライドタイムを1.5時間と書類に記入していたのですが(笑)。

その後、精算をしにCoronaのスクールへ出向き、先に戻っていたElianや他のスタッフにおめでとうと連呼されます。「次はInstrumentか」などと言われますが、先のことはまだ決めていません。まずは、自分のペースで空の散歩を楽しめればと思います。

Elianとログブックの確認・整理をして、「何かあったら、いつでも連絡してくれ。空を楽しんでくれ」と言われて、握手。チェックライドの全ての行程が終わりました。Elianには、少しですが気持ちを封筒に入れて渡しておきました。

以上、プライベートライセンス取得のお話はここまでとなります。チェックライドを含めた総飛行時間は45.9時間。この中には、一番最初のLorneとのデモフライト(0.5時間)勘違いによる不必要なクロスカントリー(2.1時間)も含まれています。これらを勘案すると、チェックライドまでの実質の練習フライト時間は41.8時間という、想像していたよりもかなり短い時間でライセンスを取得する事が出来ました。Elianの的確かつ効率的な指導のおかげと、感謝しています(連絡が遅いとか、少し改善してほしいところはあったけれど)。まだまだATCをはじめとして不安な要素はありますが、自分のペースで楽しみつつスキルを上げていきたいと思っています。C172も飛ばして、友人家族を空に招待してみたりもしたいですし。今は、一つの目標があっさりと達成できたことに驚いていますが、実感をじっくりとかみしめたいと思います。

総飛行時間:45.9時間
機長時間:1.5時間(累計1.5時間)
*チェックライドに合格すると、その時間は初の機長としての飛行時間とカウントされます

同乗教習:0.2時間(累計32.2時間)*昨日のCorona-Chinoのフェリー時間
:計器0.0時間(累計3.1時間)
:夜間0.0時間(3.6時間)
単独飛行:0.0時間(累計12.2時間)

着陸回数:6回(累計145回)
:夜間0回(累計10回)
地上教習:0.8時間(累計23.2時間)

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