2011年5月26日

[PIC]PA28チェロキー慣熟飛行

 今日は朝から靄がひどい状態。霧まで酷くはありませんが、晴天なら見える遠くの山もうっすらとしています。これはあまり期待できないと思いながら、チェロキーの慣熟飛行に出かけました。先日、チェックアウトは終わりましたが、まだまだ不安な状態でもあり、さらにDuboisのクロスカントリーのルールにも慣れておく意味も込めて、グランドとセーフティパイロットをチェックアウトを担当してくれたLanceにお願いしてありました。
Lake Arrow Headを右手に
学校に着くと、まずはグランドスクールから。チェロキーでの燃料タンク切り替え方法、フライトプランの記入方法、FSSへの登録方法、天候チェック方法、さらにKajon Pass、Banning Passの越え方などを質問しました。Lanceは予想よりも上手かつ具体的に教えてくれたので、しっかりと理解することが出来ました。DUATSもこれまであまり使っていませんでしたが、利便性について実際にプランをファイルしながら教えてくれました。また、DUATSから天候を取るのは、天候やその他NOTAMを取ったという記録が残るので、万が一のトラブルの際も、証拠になるということです。AOPAのFlight Plan機能で同じことをDUATSに対して出来るので、其れをしっかり使えば良いということでしょうか。

さらに、Kajon Pass、Banning Passについて質問したところ、今日のフライトはBanning、Kajonとまわって来ようということに。今までこの二つのPassを難所と考えていただけに、あっさりと行くことになって少し驚きました。驚いていても仕方ないので、出発準備をしてすぐに出かけます。前回よりは、Chino空港にもチェロキーにも慣れてきましたが、まだまだ初心者なので十二分に確認しながら行動します。前回は実はペダル操舵の時、あまりの重さにLanceがオーバーライドして操作しているのかと思い込んでいました。今回、彼が足を全く乗せていないのを発見し、単純に重いことが分かりました。前回うまく曲がれなかったのは、Lanceが操作していると思い、遠慮していたからだったようです。
自機の翼が見えるのは低翼機の魅力です
タクシーのリクエスト時に、グランドにフライトフォローイングも依頼します。タワーからSquawkなどが告げられると言われ、タクシー開始。ランナップも無事に済みタワーにコンタクトすると、Squawk Codeとremain clear of Class C until 2 way radio establish with SOCAL Approachとのこと。Chinoから東へ出発の場合は、SOCALとコンタクトするまでは、2700feetを超えないようにするということになります。

出発時に、横風操作でラダーをもっと使ったほうが良いと指摘を受けましたが、それ以外は特に問題なく順調に7500feetを目指して上昇します。まっすぐ東のBanning Passを目指します。リバーサイド上空を6000feet前後で通過し、March Baseの横を越えた辺りで巡航高度に到達しました。後は、エレベーター、ラダーの2つのトリムを使って安定させ、ほとんど手放しで飛んでいけます。ラダートリムがあるのは便利です。気になっていた靄ですが、4,5000feetで靄の上に出てしまうと、水平方向だけでなく、下方向の視界も開けてきました。Lanceが言うには、「Hazeの上に出ると、水分への乱反射がなくなるから見えるようになるんだ」とのこと。上はとても安定した気流で、これまで考えていた難所のイメージが変わって行きます。
Kajon Pass(靄の谷間)を右手に
Lanceには、時々、「今Engine Failureしたら、どこに降りる」と尋ね、経験から身に付けたであろう緊急時の感覚を盗もうと頑張ります。Lanceも一生懸命答えてくれ、理解が深まりました。砂漠地帯の舗装道路は、電線・電柱が横にある場合が多く、狙わないほうが良いとのこと。素直に平らな砂漠か、こうる間が少なければフリーウェイも考えられるとのことでした。山であれば、木の上に失速しかけながら、ポトンと落ちるのが理想だが、岩場が多い場合は、湖などの水場への着水も考えること。いずれにせよ、飛行機を気にするのではなく、自分の安全だけを気にするべきということでした。

Banningより東、Cajonより北はFlight Followingが無いそうで、自分のほうからキャンセルし、山を回るように進んでいきます。Big Bear Lakeの手前辺りで8500feetに上昇し、湖を左手に見ます。Lanceは地名案内を一生懸命してくれ、Big Bear Lakeは人造湖でもっと左に造る計画もあった(投票で負けた)こと、負けたおかげで、飛んでいる辺りは寂れたこと、またこの辺りは金山が多くあったことや山腹に大きな鉱山の跡があることを教えてくれます。

さらに回りこんで、砂漠の上を飛んで行きます。これまで夢に描いていた砂漠の上のフライトが思いがけず実現しました。雄大な砂漠の上を飛ぶのは、日本では決して体験できない何とも壮大な感覚です。「すばらしい。すばらしい」と盛んに呟いていたら、Lanceも満足げにうなずいていました。

Lanceはインストラクターになって3年、エアラインのパイロットには興味はあるものの、旅客を乗せるのはあまり興味が無いとのことで、「いつか貨物機のパイロットになれたら」とのことでした。さらに、「今の大きな飛行機は飛んでるという感じがうすくてつまらなそう」だとも言います。なかなか渋いセンスの持ち主のようです。

正面にHesperiaの街、左手にLake Red Arrowが見えてくると、その山の上を飛んでChinoに降りよう、とのことで、山を越えていきます。6000feet級の山の連なりを超えるといきなり4000feet以上の段差で下界の平野に出ます。この辺りで再びSOCALにFlight Followingを依頼し、毎分600feet程度で高度を下げつつOntario空港を目指します。SOCALからは3500feetまでの降下とOntario空港上空通過の指示が出ます。3500feetに近づく頃、SOCALからOntarioタワーへの移管指示。Ontarioにコンタクトすると、2500feet以下での空港上空通過を指示されます。

この辺りからは、チェックライドやそのための準備で以前Rialtoに行った時と同じです。Ontario空港を南北に突っ切る小川(wash)に沿って南下すると、そのままChinoのBaseに出ます。Chinoタワーへの移管指示が出てコンタクトすると、2000feetを維持せよとの指示が。かなり高いままRwy26RのFinalに曲がると、急いで進入しろとのこと。当初、こちらがベースにいる間に先に行かせる予定の機体が追い抜けずに、こちらが終われる形での進入となったようです。Lanceにコントロールを預け、120mphでの進入、急降下、フォワードスリップとさまざまな技術を見せつけながら、見事に高度を処理していきます。多少高めなところで再びコントロールを渡され、引き続きエンジンアイドル、フルフラップで降りて行きます。着陸した後も、追い立てられるように滑走路を外れ、ようやく落ち着いてAfter Landingのチェックリストを実施、スクールまでタキシングして戻りました。

Chino空港周辺の地上の様子。地表近くが靄で白くなっています。
今回も、まだまだATCをLanceに任せるところも多く、ATCが課題であるのは間違いありません。機体の取り扱いについてはずいぶん慣れ、セスナとの最大の違いである燃料タンクの切り替えも実際に経験することが出来ました。何よりも、BanningとKajonの二つの難所を越える経験が積めました。感覚が多少は分かりましたので、今後のフライトの幅が大きく広がりそうです。今日は、大きな経験をしたと感じています。

飛行時間:1.8(累計66.6時間)
:PIC時間1.8時間(累計20.0時間)
:夜間0.0(累計3.1時間)
着陸回数:1回(累計194回)
:夜間0回(累計10回)

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