2011年7月5日

[PIC20]最年少乗客を乗せて

友人が近々日本に帰るとのことで、その前に一度セスナの空港を見学して、空港のダイナーで食事でもと誘っていました。この友人、宇宙飛行士を目指されている研究者で、同じく研究者のご主人を日本に残し、3歳のお子さんと二人でアメリカで生活されています。すごいバイタリティです。

さすがに3歳の子をセスナに乗せるのは難しいし、友人やご主人も心配だろうと思い、あえて搭乗までは誘わずに、アメリカの飛行機文化を味わいに空港見学でも、というつもりでした。こうした場合は、フレンドリーなCorona空港が向いています。そして、ついでにスクールでC172を少しだけ予約しておきました。私がトラフィックパターンを回るデモンストレーションでもしようかと考えて。

独立記念日の前日、土曜日にもかかわらず仕事を終えてから午後6時頃にCorona空港に友人と向かうと、なんと空港のゲートが閉まっています。普段は8時過ぎまで開いているのですが、祝日前日だからでしょうか。ちょうどスクールのCarlosが車で出てくるところだったので聞いてみると、「今日はスクールも閉まっているけど、予約しているのだったら、フライト管理簿は用意できているから飛べるはず」とのこと。フライト管理簿は、Hobbsなどを記入するファイルで、鍵も付いていて、これを借り出して飛びます。スクールが閉まっているときは、外のファイル入れに入っているので、ここから持ち出して飛びに行きます(のどかな事この上ない方式ですが)。

それは良いのですが、ゲートが閉まっており、ゲートカードを持っていない私には空港に入る方法がありません。これもCarlosに相談すると、向かいの公園の駐車場に止めて、人間用のゲートから入ればよい、とのこと。人間用のゲートは番号ボタンが付いており、暗証番号を押すと開く仕組みになっています。これで問題は解決ということで、Carlosに礼を言ってから、そのようにします。

一応飛行機を借りてあるということで、「一応」お子さんのベビーシートも持ってスクールに向かいます。もしかしたら、飛ぶかもということで。ゲートの閉まった空港内は人気もなく、貸切といった感じです。お子さんは喜んでセスナの周りを走り回り、私と友人はC172の飛行前点検を解説しながら行います。そのながれで、「一応」ベビーシートが後部座席に装着できるか試したところ、きっちりとはまりました。これは、お子さんも一緒に飛べることになります。

風は10knots程度で滑走路に正対しています。Hazeが出ており、地表付近は揺れても上空の気流は安定してそうです。友人と打ち合わせて、まずはパターンに上がり、ダウンウインドでお子さんの状況を判断して戻るか決める。大丈夫だったら、Lake Mathewsまで行って遊覧して戻る、ということにしました。

もう一つ心配だったのが、ヘッドセットです。スクールでは管理簿入れにヘッドセットも入れてくれていましたが、子供サイズではなく付けられるのか。また、3歳の子がじっと付けていてくれるのか気になりました。やはりつけてもすぐに外してしまいましたが、エンジンが回ってもうるさそうにもしません。とてもご機嫌でニコニコしています。Runupも無事に済ませ、いざ離陸へ。離陸しても、後ろのお子さんはニコニコして外を見ています。上昇中に揺れても気にしていません。これはいけるかもということで、DownwindからLake Mathewsへ向かいます。

さすがに急激な操作をしないように気を付けます。この辺りはIFRの訓練の成果が活きているかもしれません。上がってしまえば、風はとても穏やかで、全く揺れません。湖上空で、左右に旋回し、夕暮れ時の景色を楽しみます。お子さんも友人も窓に顔を付けて外を眺めます。お子さんは、まだまだ上機嫌でしたが、ヘッドセットを付けずに長いこと騒音や揺れの中にいることもどうかと思い、帰途に付きます。周りにトラフィックもおらず、静かな中をトラフィックパターンを回って着陸。地表の風が悪く、着陸直前に少し流されてしまいましたが、ラダーで修正して着地。ただし、慣れない人には少し怖く感じさせてしまったかもしれません。

最後までお子さんは上機嫌で、その翌日も友人から、お子さんが「飛行機楽しかった」と言っているとメールをもらいました。PICとして最年少のお客さんを無事に乗せることができて、良い経験になりました。ただし、空港自体が閉まっていたためダイナーもお休みだったのは少し残念でしたが。


飛行実績
飛行時間:0.6(累計87.1時間)
:PIC時間0.6時間(累計34.6時間)
:夜間0.0(累計3.1時間)
着陸回数:1回(累計216回)
:夜間0回(累計10回)

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