2011年7月21日

[PIC21]クジョーさんとラスベガスへ

今日は、初めてKudjoさんと一緒に、ラスベガスまで出かけました。KudjoさんはFly Coronaで出会ったガーナからの訓練生です(37歳の2児のパパですが)。プロパイロットを志し、バンクーバーで10年働いた資金を持って、カリフォルニアに訓練を受けに来ています。私がDu Boisに興味を持った話をしたのがきっかけで、一足先にDu Boisでの訓練を始め、まもなくInstrumentのチェックライドを迎えるそうです。総飛行時間約150時間、カリフォルニアに来てから2ヶ月あまりで80時間ほど飛んでいるというすごい人です。

以前からKudjoさんとは一緒に行こうと話をしていました。なかなかタイミングが合わず、まあ無理かなと思っていたところ、昨日急に明日空いているから一緒に飛ばないか、との話。こちらも今日は一日クロスカントリーの予定で飛行機を押さえていたので、それでは一緒にということで、以前に二人で話が出ていたLas Vegasに行くことに急遽決まりました。

ラスベガスと言っても、いくつか空港があり、その中でChinoから行きやすい市街地南部にあるHenderson Executive空港に行くことにしました。私がフライトプランを立て、もっていきました。打ち合わせの結果、行きを自分が、帰りをKudjoさんが飛ばすことに。早速二手に分かれてコックピットの準備と外部点検へ。こういう協業体制は初めてです。負担が軽くなるような反面、責任(感)も分散されてはいけない気がします。ATCはSIC(副操縦士)が担当することにしましたが、OntarioのmidfieldトランジションをKudjoさんはしたことがなく、やり方がわからないというので、私が操縦、ATC両方やることに。オロオロしていては不安にさせるだけと思い、精一杯頑張ってATCに取り組みます。

幸い、これまでと同じような指示で、また通常Ontarioの直上を2000feet前後で通過しろという指示もなく、素直に上昇の許可が出ます。グングンと高度を上げKajon Passに向かいます。あまりに順調なので、Kajon PassではなくそのままLake Arrowheadの上を通過しようかと言うと、いやいや十分な高度を取った方が良い、とのこと。それもその通りなので、予定通りに谷間を上昇していきます。全く揺れずに気流は良好。Kudjoさんは、初めてのKajon Pass通過に満足げです。8000feetを越えた辺りから、さすがに上昇速度が落ちてきましたが、何とか9500feetまで到達。クロスカントリーでの最高巡航高度です。

その後は、ひたすら砂漠の上を進んでいきます。砂漠とはいえ、山の上(砂漠の山ですが)を通過することもあり、そうしたときは分かりやすいほど、急にコトコト揺れ出します。それでも全体としては穏やかな気流の中を、設定したVORコースで飛んでいきます。これはIFRの練習も意図したフライトプランです。車でラスベガスに行くと、4時間ほどかかりますが、プラン上は、1時間38分です。Flight Followingを受けている合間合間にKudjoさんと話をしながら進んでいくと、あっという間に降下地点へ。ATISでHenderson空港の気象を取ると、190°から20Knotsとのこと。かなりの横風です。また、空港手前の山の上に差し掛かると、揺れがかなりひどくなりました。それでもこの辺りの上空は、ラスベガス国際空港のClassBが8000feet、6000feetと覆いかぶさっているため、下げていかざるを得ません。

揺れる中、Before Landing Checklistを実施。Kudjoさんは、あまり早めにやるのが嫌いのようで、もう少し近づいてからやろうと2度ほど延期の申し出が(笑)。この辺りの他人との操縦の違いというのも興味深いところです。17Lへレフトパターンから進入せよとのことで、ダウンウインドに入ったところで、17Rに変更しての着陸許可が出ました。強風ですが、それほど突風成分はないため、安定しています。Cherokee WarrioirII特有の強い地面効果の間、横風にぐっと耐えて接地します。横風の強さの割にはまあまあだったでしょうか。

滑走路を出てグラウンドにコンタクトすると、地上滑走の許可が出ました。タクシーを始めるとバンが1台、行く手をさえぎるように横からやってきました。そしてくるりと向きを変えると後ろには「Follow Me」との文字が。初めてフォローミーカーに誘導されます。ランプでは、フォローミーカーから降りてきた人がマーシャラー(手信号で誘導する人)になりました。これもまた初めての経験です。エンジンを止めると、その人物はさらにタイダウンまでしてくれて、何だか至れり尽くせりな感じです。もちろん料金を取られることもありません(今から思えばチップくらい上げても良かったのかもしれませんが)。

KudjoさんはTransient Parkingで休んだこともないのか、その言葉を知りませんでした。いつも、遠くに行っても、そのまま戻ってきていたのでしょう。そんなKudjoさんを誘って空港のターミナル2Fにあるカフェへ。二人でコーラを頼んだだけでしたが。カフェで帰り道について相談します。帰りは私はSIC、KudjoさんがPICです。私がルートプランをしてあるので、ディスパッチャーのような形になり説明します。Kudjoさんが、ところどころに質問をするので答えていきます。2点が相談内容。6500feetで行くか、8500feetで行くか。もう一つはKVCV(Southern California Logistics Airport)に立ち寄るか、直行するか。前者は、山とのクリアランスを考え8500を選択し、後者は燃料を考え立ち寄らないことに。計算上は燃料は大丈夫でしたが、慎重派のKudjoさんの言い分を受け入れます。

カフェを後にしエプロンへ出ると、外は38度の熱風が吹き荒れています。湿度は低いので汗はほとんどかきませんが、それでも暑いことには変わりありません。Kudjoさんが機内で出発準備、私が外部点検をして出発します。ランナップ上へ行き、最終点検の後、離陸します。風は相変わらず右40度から20ノットの横風です。Kudjoさんの操縦を初めて経験しましたが、とても安定して離陸、上昇します。しかし40度近い暑さと2000feetの標高のせいか、ほとんど上昇率がありません。VSIが0と200の間くらいしか進みません。さらにタービュランスに入り始めます。いやな感じの中、それでもジワリジワリと高度を稼ぎます。

GPSとチャートで位置を確認して、Kudjoさんに方角と上にかぶさるClass Bの高さを伝え、それ以上上昇しないように伝えます。上昇率が低いので超える心配はありませんでしたが。やがて、Class Bの空域を抜け、上昇を続けます。タービュランスがあり、Kudjoさんは大きな体を丸めるようにして細かく操縦桿とスロットルで修正します。この修正の姿勢はその後、タービュランスがおさまっても続きました。どうも彼の操縦スタイルのようです。私はナビゲーションとATC担当でもあるので意外と忙しく、帰りはビデオでもゆっくり撮ろうかと思っていましたが、そうもいかずにチャートで現在位置を確認し、耳をATCにそばだてます。

そんなフライトが1時間半ほど続き、ようやく見慣れたLake Arrowheadが見えてきました。その先には、眼下に4000feetの標高差の平野が広がります。「こんな眺めの良さそうな山の家に家を建てて住みたい」とKudjoさん。本当に崖の上に家があるので、「こんな家?」と聞くと、やっぱり怖いとのこと。やはり慎重派のようです。ここからのルートは、私の想定していたOntario空港の直上通過ではなく、リバーサイド上空からOntarioのClass Cを突っ切って降下する、というもの。いろいろなルート取りがあるものです。Kudjoさんと息を合わせながら、ATCで降下許可を取り、かなり急な降下で6500feetからChinoへ向けて降りて行きます。Chinoタワーへの移管も指示され、DirectにRwy26Rへの進入許可。

風は真正面から10knots。Warrior初体験のKudjoさんには、この機体はGround Effectが強く、辛抱強く着地を待つことが必要と伝えます。フレアが多く必要なのかと聞くので、その逆と伝えます。接地のあと一瞬だけ再び浮きましたが、基本的には全く問題なく、美しい着陸を決めました。いつものようにタクシーしてスクールに戻ります。いろいろ反省点、課題はありましたが、二人のプライベートライセンス保持者のフライトが無事終わりました。SICがATCとナビを担当するのは大変なので、ナビはPICが担当したら良いのではという気がしました。まあ、一人の場合は全部やっている内容ではありますが。

Kudjoさんからは、またいろいろ一緒に行こうという話になりました。Kudjoさんとしては、サンフランシスコまで行ってみたいそうです。


飛行距離(直線距離):
CNO-HND 172nm
HND-CNO 172nm
Total 344nm 約640km 

飛行データ(Google Earth上で表示されます):
ダウンロード(Google Earhが必要です)

飛行実績
飛行時間:4.3(累計97.4時間)
:PIC時間4.3時間(累計38.9時間)
:夜間0.0(累計3.1時間)
着陸回数:2回(累計223回)
:夜間0回(累計10回)

4 件のコメント:

  1. ラスベガスいいですね!
    夜飛んでみたいです。
    今度自分もつれていってください。

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  2. 夜に飛ぶのはきれいそうですが、夜にラスベガスに行くまでが大変そうですね(笑)。思っていたよりもラスベガスが近いのは驚きでした。

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  3. YouTube拝見していると、やっぱり挑戦してみようと思えてきます。 が、上田さんのサイトで交信の録音テープをきいてみてこれがさっぱり、、せっかくの意気込みもまた萎んでしまいます(笑)

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  4. 交信は、最初はインストラクターがやってくれます。飛びながらインストラクターの交信を聞いて覚えられますし、最後は自分で話すしかなくなると、意外と何とかなるものです。私は未だに下手ですが。

    もしくは、マシンガントークのATCとコンタクトしなければいけない空域(ClassD以上)には、慣れるまで行かない、という方法もあります(笑)。

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