2011年9月17日

[IFR30]Montgomeryまでクロスカントリー

Mikeが風邪をひいたとの話で、また少し時間が開いてトレーニングに行きました。今回はクロスカントリーの第2段の予定です。前回の話では、今回はPalomarに行く予定で、その準備もしていたのですが、Mikeから連絡があり、別の学生と行った時にPalomarの管制官からずいぶんと嫌な目に遭わされたので、Montgomeryに行き先を変更しようという提案あありました。何でも、航空法違反でペナルティを課すぞとまで言われたそうで、何があったかは知りませんが、触らぬ神に祟りなしの精神で、Mikeの提案を尊重します(笑)。
Montgomery空港で出発渋滞中(前はBeechcraft190)
ただし気になるのは、ChinoからMontgomeryで使用するTEC RouteのONTN12は巡航高度が9000feetに定められています。風邪が治ったばかりのMikeが9000feetまで上がるのは少し気の毒な気がしましたが、本人に聞くともうすっかり大丈夫とのこと。ということで行き先が決まりました。フライトプランをNavlogで打ち出し(自分のノートPCからメール送信、スクールのPCでWebmailを受信、プリントアウトしました)、ルートの概要を自分でまとめた紙と共に持って行きます。必要なデータ(ルート地図も含む)をA5の紙一枚に作成するのは手間がかかりますが、自分で言うのもなんですが、とても便利で役に立ちます。Airway Chartを確認する必要が殆どなくなるため、ChartはMikeが持って確認に使います。

グラウンドにTEC RouteのClearanceを要求し、ランナップエリアで書き取ります。このClearanceの書き取りはATCの中でも一番長いフレーズを聞いて、即座にRead Backするので緊張する瞬間です。ただし、基本的には予期されている通りにクリアランスが発出されるので、想像はついています。
Cherokee00U, cleared to Camarillo airport, on departure follow Chino Departure Procedure, PDZ, V186, HAILE, V66, MZB direct. Climb and maintain 3000, expect 9000 10 minutes after departure, frequency will be assigned by tower.
重要なルートに関する許可なので、一つでもRead Backに言い間違いがあれば指摘されます。今回はHAILEインターセクションからMZB(Mission Bay VORTAC)の間の航空路V66を言い忘れたために指摘され、その部分だけ言い直しを要求されました。

離陸後は、SOCAL APPに移管直後に4000feetまでの上昇許可。高度に関しては、出発前のクリアランスはあっても、その場の状況でかなりの変更があるようです。結局、最終的に7000feetまでしか上昇しませんでした。さらに航路上が混雑しているようでレーダーベクターでヘディングを右に左にと振られます。かなりの時間がレーダーベクターとなりました。レーダーベクターで航空路を外れると、GPSやDMEの無いトレーニング機では、2つのVORの位置関係を利用して現在地を把握するのが重要になります。なかなか難しいですが、いつ「Resume Own Navigation(自身による航法に戻れ)」と言われても対応できるようにしておく必要があるとのこと。

この、現在地の把握と、その先のフライトに向けての準備の両立がなかなか難しい感じです。現在地を把握することに力を割き過ぎるとその先のルートやアプローチの準備がなかなかできず、かといってアプローチの準備のためにVOR等の設定を早めに用意してしまうと、「Resume Own Navigation」と言われた時に慌ててしまうことになります。トレーニング機にVOR受信機は2つありますが、こういう時は2つしかないという感じで、現在地の把握かその先の航路に向けた準備に使うか、判断が悩ましいところです。

アプローチに関しては適切なタイミングでApproach Briefingを行なって、着陸に向けての手順やVOR、ATC等の設定・準備を行ないます。この実施も、ATCの意図を察しつつ、早すぎず遅すぎないタイミングで行なうことが必要で、こうした事は経験から学ぶしかないようです。何でも早めに用意してしまいたい自分としては、歯がゆく感じます(笑)。

離陸前に待たされたこと、レーダーベクターで振り回されたこともあり、予定フライトタイムより10分ほど長い1時間10分の飛行時間でMontgomery空港に到着しました(Block Timeは1.5時間)。さすがに狭い座席で気を張り続けた1時間半でだいぶ疲れたので、機外に出てまずは伸びをして体をほぐします。 Mikeはフライト中に着信のあった不動産屋に早速電話をかけ直しています。引っ越す予定だそうで、その他にも引越屋にも電話をしています。

空港のメキシカンレストランで休憩を取ります。その間、Mikeと世間話。前回聞いたMikeの前職について詳しく聞き出すと、労災関係のカウンセラーをしていたとの事。事故などでキャリアの変更を余儀なくされた人に、次の仕事の適性、教育トレーニングの提案、そして保険会社との調整などが仕事だったそうです。また、ペルーから5歳でアメリカにやって来たMikeですが、20前後の時2年ほどペルーに住んでいたことがあるとのこと。その頃はスカイダイビングに夢中で、ペルーでやっていたら気が付いたら2年経ってしまったとのこと。どうも、若いころは無茶な性格だったようです(笑)。

引越に関しても、生まれ育ったOrange Countyに戻ることが夢だったそうで、スクールでのインストラクターの仕事も安定しつつあり、実現出来ることになったそうです。教える仕事は大好きだけど、もう少し収入が高くて安定すれば良いんだけど、とのこと。厳しいアメリカの航空業界の一端を感じます。

帰りは、離陸の順番待ちの列が前に4機。みるみる後ろにも6機つながり大渋滞です。われわれの前はBeechcraft1900という大型の双発機が立ちふさがっています。少し距離をあけますが、排ガスが容赦なく入り込んできます。Mikeは「この空港はクレージーだ」と呟きます。私は、いろんなところでMontgomery空港がかなり込み合った空港であることを知っていたので、こんなものかと思い「これも経験です」と答えます。渋滞の経験も繰り返せば苛立たしいのかもしれませんが、今のところは管制官が必死に交信をしているのを聞きながらのんびりと待つのも、また良しという感じです。ただし、その間も費用が発生していると考えると、面白くはありません(笑)。

結局エンジンスタートから離陸まで30分ほどかかりました。 20分ほどは待った計算になります。離陸後はClearanceで予告を受けていた通り、hdg270で進みます。海の上に出て雲を抜けて雲海の上に出たのが、フードの端からも分かります(笑)。Mikeが「フードを取って外を見てみろ」と言うのでその通りにすると、一面の雲海の上を飛んでいました。一瞬、言葉を失う美しさでした。そんな間もなくすぐにフードをかぶり直し、ひたすら計器との睨めっこが再開します。外を見れないことはストレスですが、慣れてくると計器だけみて操縦するというのは、楽と言えば楽な話です。外の見張りはMikeに任せ、こちらは少しでも高度とルートを精密にしようと頑張ります。風を読み、VORとの距離を考えながら、微妙に針路を修正します。その結果を参考に、再び修正。そんな繰り返しで、ルートをかなり正確にトレース出来たような気がします。一言でいえば、エンルートのIFRは楽しいです。

帰りのルートはDANAH(Dana Point上空のFIX)を経由し、航空路V363でChinoに南西から入り込む形のルートになります。Mikeとの打ち合わせではChino空港ではLOCアプローチをしようと言っていましたが、ATCに依頼するタイミングつかめず、先方からはILSアプローチが指示されました。試しに「Cleared for Localizer Approach rwy26R」と異なるRead Backをしてみましたが、管制官から「リードバックが間違っている。言い直し!」と言われました。素直に、その場で依頼しても良かったのかもしれません。Mikeと到着後の話し合いでは、もう少し早めのタイミングで依頼をしておくべきだったとの結論に達しました。
左:Mike、中央:Louの「新車」、右:Lou
操縦に関しては問題はありませんが、まだまだATCのやり取りが慣れないと感じます。ChinoではTEC Routeを要求したのにFlight Followingと思われたり。Mikeがいつも助けてくれるので、つい困るとMikeを見て無言で助けを求める癖がついてしまっています。かなり助けてくれたのですが、Mikeは「とても良いフライトだった。ATCも2,3回くらいしか自分は助けなかったよ」とのこと。この辺りのMikeのほめて育てる姿勢には、本当にほれぼれします(笑)。
リヤに不思議な形のエンジンが配置されています(中央の風車は冷却用らしい)
フライトに特に問題は無かったとのことで、次はIFRの条件にある250nmのロングクロスカントリーに臨みます。それが終わったら、3, 4回練習飛行をして、試験を受けようとのことに。何だか、IFRのトレーニングも先が見えてきた感じです。もちろん、まだまだ様々な認知、判断、操作の精度を高めなければいけないのですが、終わりが見えてくると、何だか寂しい気持ちにもなってくるものです。ただし、また私のスケジュールの関係で、次回のフライトはかなり先になりそうです。
ボンネットの中はトランク
スクールから帰ろうとした時、校長のLouが見慣れない車に乗ってやってきました。今日Van Nuysまで出かけて受け取ったばかりの車だそうで、「新車ですか?」と聞くと、「1965年製だけど、自分には新しい車だね」とニヤッと笑いました。リヤエンジン式で150馬力対向6気筒、キャブレターが4つもあるので、エンジンルームの中も不思議な感じです。こんなエンジンについても以前は良く分かりませんでしたが、飛行機のおかげで良く分かるようになりました。あいかららず車には興味が持てないので、Chevoret製までは覚えましたが、車種は聞いたものの忘れてしまいました(笑)。この写真を見て分かる方がいたら、お教えください。
格納庫に入ったトレーニング機とLouの「新車(中央)」

プローチ合計(Simulator含む):
31回(ILS13回、LOC5回、VOR13回) 

飛行実績:
飛行時間:3.0時間(累計118.2時間)
Simulator:0.0時間(累計9.8時間)
:PIC時間0.0時間(累計42.2時間)
:Instrument .2.4時間(累計32.0時間)
:Instruction 3.0時間(累計39.2時間)
:夜間0.0(累計3.1時間)

着陸回数:2回(累計242回)
:シミュレータ着陸:0回(累計3回)
:夜間0回(累計10回)

グラウンドスクール
0.5時間(累計15.3時間)

2 件のコメント:

  1. こんばんは。立て続けに飛行機事故が発生していますね。エアーショーでの惨事はぞくっとしました。スクールでもきっと話題になっていることでしょう。ところで、Lou 校長は車にもなかなかのセンスをお持ちのようですね。クラシックカー、Corvair ではないでしょうか。Camaro にモデルチェンジする前の古き良きアメリカのイメージがあります。乗ってみたいですね(笑) そろそろIFRも修了とのことですが、次の目標は何かお持ちなのですか。 くれぐれも安全第一でこれからも頑張ってください。引き続きブログを楽しみにしています。

    返信削除
  2. こんにちは。ここ最近、急に秋めいてきた気がします。Renoはショッキングなニュースでしたね。Mikeに事故の経験を聞いたところ、着陸直前に別の飛行機が上から下りて来てぶつかられた事があるとという、衝撃的な話を聞きました。上下左右注意を怠ることはできません。

    車種ですがCorvairですか。教えていただいて、Lou校長がそう言っていたのを思いだしました(笑)。しかし、60年代の車のモデルがすぐに分かるとはさすがですね。お教えいただき、ありがとうございます。

    IFRは先が見えただけで、まだまだ終わりではないかもしれません。トレーニング自体が、再び1週間以上お休みの見込みなので、10月もIFRのトレーニングで楽しめそうです。次は何を目標にしましょうか(笑)。LouがCommercialは取らないのかと言ってきそうな気がしますが(笑)。

    返信削除