2011年10月16日

IFRレーティング合格[チェックライド2]

午後3時過ぎからチェックライドのフライトが始まりました。プリフライトを行なってから、いつものトレーニング機に乗り込みます。ExaminerのKenは、「間違えに気が付いたら、確認して訂正すること。今日もいくつかの間違いがあるかもしれないが、それをしっかりと修正できるかが重要だ」とのこと。

エンジンをかけてグラウンドにクリアランスをもらってRunup Areaに向かいます。すぐ前を先日の日Du Boisに訪ねて来ていた日本人教官のセスナ機が進んでいきます。Runupで並ぶと、日本人らしい4人が乗っているのが見えました。こちらは、エンジンを2000RPMに上げて、Magnetoチェック。左Magnetoで経験したことのないRoughになりました。再度確認しても同じ。Kenが、「こういう時はどうする?」と聞くので、「もう1回確認して改善しなければ、そのままスクールに戻ります。」

「こういう時はこうするんだ」といってKenがMixtureをLeanにしてしばらく様子を見たり、Full Throttleにしたりします。その度にMagnetoをチェックしますが改善しません。「これは、どうしようもないな」とのことで、Groundにスクールまでのタクシーを要請します。これで今日の試験は終わりか。とりあえず、今日落ちることはなくなったな、などと考えていました。スクールに着いて念のため、再再度のチェック。校長のLouも出て来て様子をうかがっています。やはり調子が悪いのでエンジンを切りますが、Louが「プラグの交換ですぐに直してみせるから」と頼もしいことを言います。すぐに整備担当者が2人出て来て、問題のプラグを探し出します。熱々のエンジンにもかかわらず、すごいものです。「ここにクラックがある。リーンにし過ぎると、温度が高くなり過ぎてこうなることがある」とのこと。以前の亀裂が温度変化の拍子で、スパークしないまでに進行したのではないか、ということでした。エンジンを回してLouが確認すると、快調な状態に戻りました。結局20分ほどで修理が完了になりました。

気を取り直しての出発します。Kenは、ほぼ無言です。最初にRunupまで向かった時に質問したところ、「君がPICだから、すべて君が判断するんだ」と言われていたので、気にせずに手順を進めます。いつもはInstructorのMikeが困ると助け船を出してくれていましたが、今日は全て自力でこなす必要があります。離陸後は、まずLake Mathewsへ。ここからはKenの指示にしたがって操縦します。最初はPDZ VORに向かい、それから指示された高度、針路を維持します。すぐにUnusual Attitudeの試験になりますが、これは簡単に戻せました。2回行なって終了となり、RiversideへのVOR Approachのセットアップ、SOCALへのコンタクトを指示されます。

準備が出来るまでは操縦してくれるとのことで、それを利用(活用)してApproach Briefingまでしてしまいました(笑)。SOCALはかなり忙しそうで、なかなか返事をしてくれませんが、3度目の語りかけで返答あり。Practice Approachが了承され、PDZでのHolding Patternを利用したProcedure Turnに向かいます。「どのエントリーをするつもりだ?」とKenに聞かれ、「Teardropです」と答えましたが、大間違いでした。位置関係からDirect以外あり得ない角度で、「本当にTeardropか?」と聞かれて、「Directの間違いでした」と訂正します。他にも、試験を通して針路でも2度ほどKenは助け船(指摘)を出してくれました。

Coronaのアプローチは順調に進み、その後のMissed Approachの手順もスムーズ。すぐにRiversideのアプローチの準備を始めます。ATISを取り、Altimeterの設定を変更し、Localizerの周波数のセット、モールス信号確認、コースセット、VOR2もPDZを使用したクロスチェック用に同様に設定します。また、RiversideのTower周波数もCOMにスタンバイさせ、すべての設定をブリーフィングで最終確認します。そこで、KenがAttitudeとHeadingにカバーを付けてPartial Panelに。レーダーベクターされており、針路を指示されるたびに、ハラハラしながら変針しますが、多少のずれはあったものの、大きくは外れることなくLocalizerに乗ることが出来ました。90Knotsを維持するよう、細かくピッチとスロットルを調整しながら進みます。相槌さえ打ってくれませんが、一人で「Needle moving, cross EXPAM at 2500 and start timer when crossing」「Speed 90knots, slightly left of course, correcting」「100 to minimum」などと声を上げ続けて、Kenにコントロール出来ていることをアピールします。しばらくMinimumで飛んだ後で、「Execute missed approach」とKenからコールがありました。

その後、SOCALに戻りHDG260を指示されますが、最後のChinoへのILSアプローチを依頼しますが、マシンガントークが続いているSOCALからはなかなか反応がありません。仕方が無いので、Approach Briefingを行ない全ての設定を完了して待っていると、「Say your request again」。ようやくLocalizerへの誘導が始まり、左に180度の変針。どうやらChino空港を通り過ぎる辺りまで来ていたようです。そのため、時間的余裕がたっぷりと生まれ、Briefing内容を再度確認し、余裕を持ってApproachの準備をすることが出来ました。これが功を奏したのか、Partial LOCの後のILSのせいなのか、全く問題なく自信を持ってアプローチ出来ました。Minimumでフードを外すと、ぴったりの場所に。そこから12knots G17knotsの風に煽られ気味になりましたが、なんとかPAPIに乗ってTargetに。着地直前に再び煽られ少し右にずれましたが、そのまま着陸。引き続いてスクールへタクシー。

Kenはその間も無言で、気まずい空気が流れます。良い部分もあったけど、明らかな失敗も2度ほどあったからなあ、と考えながらエンジンシャットオフ。Kenは「Good job! See you inside」と言い残してさっさと降りてしまいました。荷物の整理、Hobbの記録などをすませてから飛行機を降りると、Louが「Congratulation!」とやってきました。「まだ結果を聞いていないんだけど」と言うと、「自分が聞いておいたから(笑)」。それでも信用できず、「どうだった?」と他の人に聞かれても、「まだファイナルアンサーを聞いていない」と答え、Kenの待つ教室に向かいます。

教室ではKenがパソコンに向かっていますが、沈黙のままです。耐えきれなくなり、「結果は?」と尋ねると、「合格だよ」。「本当ですか?」というと、「気に入らないなら、まだ変えられるけど」とKenが初めてにやりと笑いました。ここで初めて、合格が確信できました。そのままペーパーワークに入り、Kenの持ち込んだ小型プリンターでテンポラリーライセンスを発行し、これまでのプラスチックのライセンスには穴開け機で穴を開けます。こうした必要な小物を全て持ち込んでいるのは、すごいと思います。フライトのコメントを聞きましたが、「特にないよ。良く出来ていたよ」とのことで、何だか拍子抜けしつつ、盛り上がらない時間が続きます。

そんな時、Kenの携帯に電話が。光った待ち受け画面には、柴犬の姿が。電話の後でKenに「それは、もしかして柴犬ですか?」と尋ねると、「日本ではありふれた犬だろ」と笑います。聞くと、柴犬を飼っているそうで、南カリフォルニア柴犬クラブの会員でもあるそうです。「彼女は写真に撮られるのがとっても好きなんだ」と言って、何枚も写真を見せてくれました。すっかり相好を崩しています。先週は柴犬クラブの集まりで、30匹の柴犬と飼い主が集まってピクニックをしたそうです。

その後、スクール恒例の飛行機の前でのExaminerとの写真撮影をして、ひと段落しました。まずはMikeのところに向かい、合格の報告とこれまでの感謝の念を伝えます。「素晴らしいインストラクターに出会えて本当に幸運だった。そのおかげで合格できた」と言うと、Mikeも「良い生徒に出会えてよかったよ。生徒だけでなく、友人としても良い人間に出会えた。」と、すごいことを言ってくれます。「その言葉をそのままお返しします」と伝え、一緒に記念写真を取ってもらうように頼みました。4ヶ月間ずっと励まし続けて面倒を見てくれたMikeとの写真は、ぜひ撮りたいと思っていました。

他のスタッフや居合わせた学生の皆さんにもおめでとう、おめでとうと口々に言われ、ようやくスクールを後にしました。Louは早速、「次はCommercialを取らないか?Instrumentに比べて、Commercialは楽しいぞ」と早速営業に入っていましたが(笑)。全て終わったのが6時過ぎ。朝10時にスクールに来てから、長い1日でした。

プローチ合計(Simulator含む):
49回(ILS19回、LOC10回、VOR20回) 

飛行実績:
飛行時間:1.6時間(累計139.3時間)
Simulator: 0.0時間(累計9.8時間)
:PIC時間 1.6時間(累計49.9時間)
:Instrument 1.25時間(累計44.15時間)
:Instruction 0.0時間(累計52.6時間)
:夜間1.0(累計4.1時間)

着陸回数:1回(累計255回)
:シミュレータ着陸:0回(累計3回)
:夜間0回(累計11回)

グラウンドスクール
3.0時間(累計21.9時間)

2 件のコメント:

  1. 合格おめでとうございます!!! きっとLOU校長の言葉は心からのものだと思います。日本人生徒の評価がこれでまた高くなりますね。素晴らしいです。 それにしても試験官のKen、柴犬クラブのメンバーとのこと(そういうクラブがあることも驚きですが)きっと映画 "HACHI" 鑑賞されたかもしれませんね。
    さて、次はコマーシャルですか。 暫らくプライベートで空の旅を楽しまれるのもいいですね。 そのあと今度はヘリコプターのPPLに挑戦!というのもありますし。 オプションがあって楽しみですね。 これからもエンジョイされますように。

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  2. miaさん、ありがとうございます。

    なかなか癖のある試験官でしたが、他の受験者やMikeが言うようにFairな人物だったと思います。

    次の予定は全く未定ですが、スクールにあるMooneyには興味があります。これはランディングギアが引き込み式なので、Complex機のEndorsementをもらわなければなりません。それが楽しみなのですが(笑)。

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