2011年10月14日

[IFR36]再度のロングXCでサンタバーバラへ

計器飛行(Instrument)の試験を受けるには、250nm以上のクロスカントリーをする必要があります。2週間前にSan Luis Obispoまで飛んだので距離的には十分のはずだったのですが、そのロングクロスカントリーの条件に「3種類のアプローチを実施すること」という条件がありました。Mikeと私もすっかりこの要件を忘れてしまい、単純に往復してアプローチも1回ずつの計2回で終えてしまっていました。MikeもInstructorを始めてから、ずっとPrivateの学生ばかり面倒を見ていたそうで、Instrumentの学生を教えるには、まだまだ不慣れな点があるようです。
第1レグの航跡(FlightAware.comより)。
という訳で、再度のロングクロスカントリーに出かけることになりました。MikeはInstructorとして、このルールに則ってロングクロスカントリーをしなかった事に大変責任を感じているようで、「このロングクロスカントリーはInstructor費用はいらないから」と言っています。そうは言っても、Mikeはまだ小さい子供2人を奥さんを抱えて奮闘していますし、経験を積めるという意味では良い機会なので、気持ちだけもらっておくことにします。

さて、250nmで3つのアプローチという条件(さらに最低でも1区間は50nm以上あること)を最短距離で満たすにはどうしたら良いか。いろいろ調べた結果、CNO-SBD-SBA-CNOという三角形で飛ぶこととしました。SBD(San Bernardino空港)ではLOC、SBA(Santa Barbara空港)ではVOR、そしてCNO(Chino空港)ではILSとそれぞれアプローチをすれば、条件を満たすことが出来ます。飛行距離は、計265.4nm。さらに効率的なプランはないかと探しましたが、Chino空港発では、これが一番のようです。

さて、様々な準備をしてスクールに向かうと、受付に日本人がいてLou校長と何やら話をしています。先方も日本人学生が現れたことに驚いた様子で、「日本人か!?」と声をかけられました。Du Boisの裏のハンガーでフライトスクールを長年経営されておられる方だそうで、相談でやってきたとの事でした。せっかくなので話が出来ればと思いましたが、クロスカントリーに向けて準備をしなければならず、教室に向かいます。

第一レグのCNO-SBD。これは距離が短すぎるせいか(21.3nm)、TEC Routeが用意されていません。そうした場合はFlight Planをファイルする、通常のIFRになります。このプランのファイルは私が一人ですることになっていました。ファイルは30分前までに行なわなければならず、ファイルが遅れると出発時間も遅れてしまうことになります。電話でBrieferにプランを伝え終わる頃にMikeが入ってきました。そのまま今日のフライトの打ち合わせと、出発予定時間を伝えて、Pre-Flight Checkに向かいます。機体は前のフライトから戻って来たばかりで、エンジンルームは熱々の状態。雑巾を持って来て、ミトン代わりにしてオイルの点検をします。オイルが既定値内ながら少な目なので、念のためオイルを1本持って行くことにします。また、現地でのためにTow Barも1本拝借して機内に積み込みます。さらに、燃料も補給の必要がありました。最後にコクピットでヘッドセットやチャートをセットしていると、あっという間に30分は経ってしまいます。

燃料トラックがやってきて補給も終わり、いざSBDに向かいます。まずはGroundにTaxiとIFR Clearanceを要請します。短く簡単なルートなせいか、その場でクリアランスをもらいました。
Cleared to San Bernardino Airport, via PDZ then direct. On Departure, right turn direct PDZ. Climb and maintain 4000. Departure frequency 135.4, Squawk will be assigned by tower.
今日はRwy08L/Rが使われており、初めてのRwy08Lからの離陸。そう言えばC150のCheck OutでMikeと初めて飛んだ時はRwy03でした。この辺りで西風以外の時は、Santa Anaウインドで気流が荒れているということです。出発準備が整いTowerにコンタクトすると、Squawkコードを告げられ、離陸後はHdg080を維持との指示が。さらに、ATISが変更になったとの報告が。どうも天気の変化が急なようです。気流の悪さに気をつけつつ離陸しましたが、特に問題はなし。SOCALにコンタクトすると、そのままSBDのLOC06にレーダーベクターを受けました。SBD Towerに移管されると、「風が弱いので、そのままストレートインするか?」と聞かれました。そのまま受け入れますが、ストレートインなのでMDAが変更となります。慌ただしく確認し、追い風に注意しながら着陸。ブロックタイム0.6時間、フライトタイム0.3時間でした。さすがに短いフライトです。

着陸後、GroundにIntension(今後の意向)を聞かれ、「TEC RouteでSBAまで」と伝えます。Rwy24にタクシーして待機との指示で、Parallel TaxiwayをRwy24エンドへと進みます。この滑走路は3000m以上もあるので、2マイル近くタクシーした計算になります。目的地にたどり着くと、すぐにClearanceが発出されます。TEC RouteのONTN16そのままで、PDZ V186 DEANO V27 KWANG then Direct, 6000feetでした。Towerに移管後、Release IFR Flight Planを要求し、すぐに離陸。気温が高く6000feetに上昇するのにも時間がかかりましたが、上がってしまえば気流も安定しており、スムーズな飛行です。Paradise(PDZ)、Van Nuys(VNY)、Fillmore(FIL)と飛んで、そこから海上に進みます。
第2レグの航跡(FlightAware.comより)。途中で航跡が消えています。
巡航中はアプローチほどの忙しさはありませんが、チャートと見比べながら途中途中のフィックスの場所をVORのクロスチェックで割り出し、また、通過するVORへの接近も分かるようにします。この辺りはDME非装備機ゆえでしょうか。また、ミクスチャも微調整して、最も効率が良い設定を探します。ATCに耳を傾け、高度、針路を確認し、エンジン出力を微調整する。そしてその間にMikeと世間話(笑)。さらに、SBAが近付くとATISのチェック、アプローチブリーフィングの実施。やることは色々とあります。

SBAはVOR25で、ストレートイン。スムーズに着陸しましたが、やや滑走距離が延びました。ブレーキの利きがやや甘い気がします。Groundからタキシング許可と、交差する滑走路手前での待機を指示され進みます。Mikeと待機場所に関して意見が別れましたが、結果は私が正解でした。先週にVFRで来ておいたのが活かされました(笑)。ブロックタイム1.9時間、フライトタイム1.6時間でした。

SBAでは、2週間前に来た時と同じAtlantic Aviationに駐機しました。この空港は、TransientでもFBOでHandling Feeを支払うか、もしくは燃料を買う必要があるそうで、今回は燃料を購入しました。以前のSan Luis Obispoでもそうでしたが、こうしたFBOで燃料を購入すると本当に一杯になるまで入れます。売上に関する執念は、大したものです(笑)。MikeとAtlanticの建物内で休憩し、無料サービスのコーヒー、クッキーをもらいました。ここはビジネスジェットのハンドリングを主に考えているようで、ソファがあったり、リクライニングチェアがあったりと優雅な作りでパイロット、搭乗客の双方がくつろげるようになっていました。

飛行機も人間も燃料補給が終わり、帰途につきます。TEC Route SBAN16です。Clearanceにコンタクトすると、CMA VNY V186 PDZ then Direct, 3000, 5000 after 10minutesのクリアランスをもらいます。離陸はRwy15Lから。Fly Runway Headingということで、ずっと海上をまっすぐ進みます。そろそろ陸地に向かいたいなあと思う頃、ようやくDirect CMAの指示が。その後すぐにhdg065, when enable direct VNYをもらいます。
第3レグ(FlightAware.comより)。ヘディングだと直線、VORトラッキングだと蛇行((修正するため)の航跡になっています。

VOR2でVNYを受信しており、安定しているようだったので、「~, we can proceed direct VNY at this time.」と応答しました。が、VOR1に切り替えて飛ぼうとすると、安定的に受信出来ません。私はVOR1の故障を疑いましたが、Mikeは「こうした場合はとりあえず指示されたヘディングで飛行し、受信が安定するのを待ってから直行すべきと教えてくれました。しばらく待っているとVOR1でも受信が出来るようになり、自身を持って直行できるように。なるほど。

その後、順調にVNY、PDZとフライトを続け、「Depart PDZ, fly hdg080」、レーダーベクターを経てILS26RのLocalizerに誘導されました。ただし、指示通りの針路ではなかなかインターセプトできず、さらにGlideslopeもはるか下と、大雑把なベクターでした。穏やかな西風でILS上を維持するのも難しくなく着陸まで到達しました。再びブレーキが緩かったようで、ずいぶんと長く(Hまで)滑走してからTaxiwayに出ました。ブレーキを確認してもらった方が良いかと思い、Mikeに踏んでもらうと、しっかりと効いていました。どうも高速域でのブレーキの効きが良くないのかもしれません。無事にスクールにたどり着きました。ブロックタイム1.9時間、フライトタイム1.5時間でした。

今度こそ無事に、ロングフライトも終えました。PIC XCも53.7時間と50時間を超え、これでInstrument試験受験の条件はすべてクリア―しました。オーラルを勉強し、実技を練習して、試験に向かうのみです。試験前日にMikeに仕上げを確認してもらう予定でいます。 

プローチ合計(Simulator含む):
43回(ILS17回、LOC8回、VOR18回) 

飛行実績:
飛行時間:4.4時間(累計136.7時間)
Simulator: 0.0時間(累計9.8時間)
:PIC時間 0.0時間(累計48.3時間)
:Instrument 3.5時間(累計42.2時間)
:Instruction 4.4時間(累計51.6時間)
:夜間0.0(累計3.7時間)

着陸回数:3回(累計253回)
:シミュレータ着陸:0回(累計3回)
:夜間0回(累計10回)

グラウンドスクール
0.0時間(累計18.9時間)

4 件のコメント:

  1. takutさん、CFI Japanの上田です。
    掲示板に書き込みと情報をありがとうございました。
    JCABへの書き換えは永遠に疑問?が付く事かも知れませんね。
    次は電話に出た人の名前も教えてくださいね。 担当者が変ると、また変ると聞きます。

    さてさて、リンクが有ったので、ここまで飛んできました。
    全部のページは読めませんが14日の記事だけですが、読ませていただきました。Chinoで訓練されてるんですね。あの空港は日本人では有名ですが行った事は無いです。 でも近くの湖で5回ほどブラックバス釣りをしました。 近くと言っても空軍基地の向こう側で25マイルから30マイルは有るかな。 Van Nuys付近からの遠出だったので、それなりに近いかなと思います。名前が思い出されないけど、よく釣れを覚えてます。

    今回は、面白いケースでのLongでしたね。でも、飛行機での経験には無駄は無いと思いますよ。教官のミスと言えばミスだけど、損をした様には思えません。 地上での勉強は、効率を良くしてくれますが、実際に起こる予定外の事で凄く勉強が出来ますから。NAV1やテキトーなRadar Vectoringとか。

    全体的に思ったのはSOCALではTECが有るので、IFRが楽そうですね。私は将来的にはSoCALタイプのTECが全米で増えるんじゃ無いかと思ってます。 凄く便利ですものね。

    ブレーキは何だったんでしょうね。やはりアメリカ人は筋肉が多いのでしょうかね。もしかしたらブレーキのオイルが少なかったのかな?

    今後もヨロシク。 上田

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  2. 上田さん、お越しありがとうございます。担当者の部署・お名前は控えてあるのですが、公の場で書くことをためらったのと、記録した用紙が手元に見つからないことから(笑)、記しませんでした。記録を見つけましたら、メールなどででもお伝えします。ただ、複雑ですが柔軟に対応する(門前払いでなく解決策を検討する)という姿勢はあったように感じました。

    TEC Routeは確かに便利ですね。2度ほどTEC以外でプランを入れましたが、ひと手間とはいえ、面倒に感じました。高度、経路を選択する自由度は減るのかもしれませんが(ファイルしても異なるルートでクリアランスされる事もあるでしょうが)、ChinoのGroundにタクシー開始時に一言伝えるだけで良いというのは便利です。

    湖ですが、Lake Perris、Elsinore辺りでしょうか?後者は少しだけリゾートっぽくなっていますね。

    自分の課題は、クロスカントリーよりMultiple Approachの作業量なのですが、少しずつは慣れている気がします。仰るように経験が大事ですね。

    後でブログに記事として投稿しますが、本日Instrumentに合格しました。

    今後とも、よろしくお願いします。

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  3. takuさん、

    名前はやはり秘密にしておきましょう。 私が知っても意味が無いし、態度を硬化されると、向こうの柔軟な気持ちを折り曲げる可能性もあります。 Takuさんだけの秘密の情報としても良いと思います。

    「複雑ですが柔軟に対応する(門前払いでなく解決策を検討する)という姿勢はあったように感じました。」
    この部分が大事だと思います。

    私はNORCAL AreaでIFRを取りました。 その時もTECは有ったのですが、SoCALの様にPublishされていません。 初めて聞いた時は????でしたが、そのエリアのパイロットさん達に聞いて、感激いたしました。

    IFRおめでとうございます。 ブログを読んでないので、思いっきり手短ですけど、また後ほど。

    上田

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  4. 上田さん、

    コメントありがとうございます。書き換えで困られている方がいましたら、情報共有するという形にしたいと思います。私も日本で飛ぶかは全く未定ですが、書き換えできるならしてみたいと思って準備だけはしておこうと考えている次第です。

    それにしても、PublishされていないTEC Routeと言うのはすごいですね。どうやって知るのでしょうか?SOCAL周辺のことしか知らないので、他の地域のAF/Dなども見て、勉強してみたいと思います。

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