2011年11月17日

MooneyでArizonaへひとっ飛び

今回のフライトは、トレーニングなのか通常のXCなのか、判断に迷います。Mooneyで、Arizona州のKingman空港までフライトしてきました。フライト自体は、Mooneyの借り出しに必要な条件を満たすためのものです。基本的なフライトトレーニングはもう良いだろうということで、時間を一度に稼げるクロスカントリーとなりました。ただし、スピードが速い機体なので、ある程度遠くに目的地を設定しないといけません。インストラクターのMikeからは行き先は任せるからと言われていましたが、なかなか決められずに前日の晩になってKingmanを思いつきました。
砂漠の中を飛行中
初めての州越えフライトです。PhoenixのSectional Chartをスクールで購入し、マーカーで経路に印を付けます。それほど高いわけではありませんが、3400feetの標高も今までの中では最高です。フライトプランをMikeに説明してから、プリフライトを行ないます。プランでは、帰りにLaughinでタッチアンドゴーを行なうつもりでしたが、機体の点検でStrobeが付かないことに気が付きました。Mikeがメカニックに聞きますが、部品を交換する必要があるとのこと。すぐの交換は無理なので、日没までには帰還することになり、この時点でKingmanへの単純往復が決まりました。最近は5時前に日没を迎えます。

Mooneyでの初めてのFlight Followingとなります。Groundにタクシー許可と同時にKingmanまでのFollowingを要請します。最近ATISでClearance Deliveryの案内が流れていましたが、今日はなし。もしかしたら、試験的に運用していたのかもしれません。Groundから、タクシー中に連絡が入ります。内容は通常通りの「Remain clear of Class C airspace until 2way communication establish with Socal Departure, Departure frequency will be 125.7」というもの。 IFRのクリアランスは「Are you ready to copy?」と聞いてくれますが、これくらいならば、聞くまでもないということでしょう。
帰路、州境のコロラド川の上空
離陸後、左旋回してSocal Depにコンタクト。9500feetへの上昇が認められます。Throttle、Propを上昇設定のManifold Pressure 24inches、 2400RPMの「24square」となるように設定します。Mooneyの上昇速度(Xy)は96mphと早くはありませんが、その分上昇率は1000fpm前後を維持します。7000feetを超える辺りから徐々に上昇率が下がってきましたが、レベルオフするまで500fpmを下回ることはありませんでした。上昇にしたがって、シリンダーヘッドの温度がグリーンアークに入るように、Cowl Flapを閉じて行きます。水平飛行ではThrottleとPropを23.5squareに設定します。速度がじわじわと上昇し、135-140mphで落ち着きます。
Kingman空港
Palm SpringsのVORTAC(PSP)を通過し、Twentynine Palms VORTAC(TNP)に向けて変針します。今日のフライトプランはIFRを選択肢に入れていたため、Victorway(低高度航空路)を飛行します。眼下には壮大な砂漠が見渡す限り広がります。15分ほどでTNPを通過した後、Needles VORTAC(EED)をに向けて進みます。さすがに140mphでのフライトは早く75nm程の距離が30分ほどです。この辺りでMikeと着陸に向けてのBriefingを行ないます。ASOSで天候を聞き、Rwy21を着陸滑走路に想定します。降下開始をFlight Followingを受けているLos Angeles Centerに告げると、Followingが終わりました。20nmほどに近付いてUNICOMでTraffic Advisoryを問い合わせますが、反応なし。そのままRwy21への着陸をアナウンスします。Downwindに入り、GUMPSを実施します。Cowl Flapも、忘れずに開けておきます。Base、Finalと回り込みます。ATCはMikeが担当してくれるとのことで、フライトだけに集中します。問題の無い着陸でした。ブロックタイム1時間54分、フライトタイム1時間36分でした。
Kingman空港。ContinentalのEBRが大量にストック中
Transient Parkingに泊めて、FBOでトイレを借ります。FBOでは、ソファに物静かそうな若い東洋人のお兄さんが座って雑誌を読んでいました。Mikeが話しかけると、AmeriflightのCo-Pilotだそうで、Show Up待ちでした。Ameriflightは小型機によるカーゴ航空会社で、確かにRampにMetrolinerが駐機していました。通常は一人パイロットで運行されるそうですが、訓練で2名で飛んでいるとのこと。Stroboの点かないMooneyのため日没までに戻る必要があるので、少しソファで休んだだけで機体に戻り出発準備を行ないます。

Mikeが「さっきのパイロットは日本人?」と聞くので、アクセントから、中国生まれの中国人だと思うと答えます。Mikeも「Ameriflightはいつも1人パイロットだから、彼は正規のパイロットではなくトレーニング生か研修ではないか」とのこと。機内でフライトプランの確認、エンジン始動を終えてタキシングを開始すると、Metrolinerに先ほどの東洋人パイロットが乗り込むところでした。軽く挙手をして挨拶します。Mikeによれば、あのようなCargoのパイロットは小さなカバン一つで、何日も飛びまわるそうです。「飛行機は高性能だけれど、一度家を出たら家族や子供に何日も会えないよ」とのことで、なかなか大変なようです。Mikeは会社ではなく、プライベートジェットのパイロットとして雇われたい気持ちがあるようです。
帰路、Arizona方向を振り返って
帰りは離陸すると、西向きに飛行します。この機体にはバイザーが無く、太陽が真正面でまぶしくて仕方ありません。Mikeと手でひさしを作ってしのぎます。Needles(EED)、Hector(HEC)、APLESと進むプランです。コロラド川を渡る頃、左手にはLake Havasu、右手にはLaughlinの町並みが見えました。Mikeによれば、夜にみるLaughlinのは光の帯が空中に伸びてとてもきれいとのこと。コロラド川を渡ってしまえば、後はひたすら砂漠の中を太陽に向けて飛んで行きます。NeedlesからはFlight Followingを依頼し、LA Center、Joshua Approachと続きます。Mikeに多めに操縦もお願いし、こちらは写真を撮ったりGPSのプランを確認したりします。二人パイロットの便利さを実感します。APLESポイントを通過して、Kajon Passから降りる準備を始めますが、下界は濃いHazeが広がっています。
帰路は太陽の後を追うように飛びました
ChinoもVisibilityが6SM程で、まるで雲の中に降りて行く感じです。Mikeにこんな場合はどうしたら良いか尋ねると、「Flight FollowingでATCの降下指示にしたがえば良い」とのこと。下手に降下開始を告げてFollowingを終えられてしまうより、このままFollowingにしたがった方が良いという訳です。やがて、Joshua Appから4500feetまでの降下許可とSocal Appへの移管を指示されます。Socalにコンタクトすると、降下制限がキャンセルされました。NAV1にRwy26RのILSをセットし、視界が悪い中でNAVを参考に進んでいきます。Chinoタワーにコンタクトすると、Rwy26Rへストレートインの指示が出ました。夕日と靄で見にくい視界の中、ILSに乗って降下していきます。風も穏やかで順調かと思われましたが、最後の最後でフレアが少し高すぎ、着地まで時間がかかってしまいました。そろそろ低翼機の着地を安定したものとしていきたいと強く感じます。ブロックタイム2時間6分、フライトタイム1時間48分でした。

今回は穏やかな晩秋の中、Mooneyの俊足ぶりを堪能するフライトとなりました。また、自分の操縦する機体で初めてカリフォルニアを越える事も出来ました。以前、Kingmanは車で通り抜けたことがありますが、Los Angelesからかなり時間のかかる場所でした。それが、Mooneyだと2時間以内でたどり着くとは、あらためて飛行機の早さを実感します。今回で、Mooneyのフライトタイムも9時間になりました。あと6時間、飛行時間を積む予定にしており、もう1,2回どこかにクロスカントリー行くことになりそうです。

飛行実績:
飛行時間:4.0時間(累計150.2時間)
Simulator: 0.0時間(累計9.8時間)
:PIC時間 0.0時間(累計49.9時間)
:Instrument 0.0時間(累計44.15時間)

:夜間0.0時間(累計4.7時間)

着陸回数:2回(累計281回)
Simulator着陸:0回(累計3回)
:夜間0回(累計11回)

10 件のコメント:

  1. どうもお久しぶりです~。
    コメント長い間してませんでしたが見てますよ。
    よくサンタモニカらへんも日本人のアクセントをもった人いますよ。たぶん日本人だと思います。

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  2. お久しぶりです。訓練は順調ですか?
    SOCALは意外と多くの日本人が飛んでいるんですね。空の上で日本人の声を聞くと、なんとなくうれしい気持ちになります。

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  3. 掲示板への書き込みと、Constat-Speed Propの評価ありがとうございます。 ちょっと自信が持てたかな。

    Arizonaとはまた暑い所に行きましたね。 Density Altitudeは如何でしたか? ガラガラ蛇やサソリは出迎えてくれましたか?飛行機で行った事はありませんが、自動車では有ります。

    TakutさんのMooneyはRnagerですか? 実は私はCFIをMooney M20Cで取りました。 しかも右席にはブレーキが無いので変な感じでした。 ちなみに、練習中にこのMooneyでLOW RPMでFull Powerにしちゃいました。あのバーンは20年たった今でも耳に残ってます。 確認の方法が有りませんでしたが、あれが唯一のDetonationだったかも。


    ちなみに、釣りはぺリスでした。良いところですよ。

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  4. Mooney はM20BでRangerよりも古いようです。スクールの校長が父親から受け継いだ機体だそうで、年期は入っていますが、手入れは良く出来ています。

    燃料タンクの切り替えが足下にあり手がとても届きにくいですが、校長お手製のプラスチック製(前職がプラスチックの成形関係の仕事だそうで)の補助棒があり、それを使って切り替えたりしています。

    それにしても、ギアが重くて、特にギアダウン時には渾身の力が必要な気がします。

    Arizonaですが、季節のせいか秋晴れのさわやかな気候でDensityも気にならないほどの気温でした。

    Perris、私もハイキングで行きました。きれいなところですね。

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  5. 偶然ですよ。偶然。
    10月にCommercial Checkrideを受ける人が居たんです。
    電話で話してると、Constant-Speed Propが分からない。
    Governorの事が特に分からなかった見たいなんです。

    3年ぶりに読むと、確かに分かり難いと実感しました。
    それで、AC65-12Aを探し出して、
    Governorを中心に色々と勉強をし直しました。
    だいたい説明が悪い時は、こちらも理解度が低い。

    それで、本人の気持ちになって、製作をしなおしました。
    必要としてくれている人が居て、良かったです。


    しかし、Takutさん、
    まだ150時間なんですね。 優秀ですね。

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  6. Takuさん、 Step Onしちゃいましたね。 失礼。

    Mooneyは、かなり年季が入ってるんですね。
    まあ、50年近く前の飛行機ですから、
    逆に手入れが行き届いてる証拠ですね。

    「渾身の力が必要な気がします。」
    ははぁ、これならGearを忘れる事は有りませんね。
    着陸前に手が痺れていなければ、忘れ物が有るって分けですし。

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  7. Constant Speedは機構もそうですが、コンセプトが取っつき難い気がしました。車のギアチェンジに例えても良さそうですが自動の部分(Governor)と手動の部分(Prop)がありますし。私は、Before Landing CheckでPropをフルフォワードにした時に、Propコントロールの意味を体感できた気がします。

    私が非力なのか、Mooneyが怪力仕様なのか、ギアレバーの重さは印象的です。筋トレをした方がいいのかもしれません。

    趣味で飛んでいるので、1年少しで150時間というのも、良い方かもしれません。決して優秀ではないですが、CFIとの相性はPVT、IFR共に(それぞれ別の人です)良かったのが幸いでした。趣味なので、どこまではまるかが悩ましいところです(笑)

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  8. 「コンセプトが取っつき難い」
    そうなんですよね。Constant Propは何処から説明して良いのか悩みます。 悩んでるから説明も、ダラダラ。 頭の中が整理されてないから、似た様な事を繰り返す・・・・と悪循環。 今でも満足度が低いんです。

    その意味では、Sectional Chartも説明が難しいのですよね。。。

    「ギアレバーの重さ」
    何でしょうね。M20Cではそんな記憶は一切無いのですが。何処かでケーブルが挟まれてるのか、電気ならスイッチの不良なのか。 

    「どこまではまるかが悩ましいところです」
    個人的にはCFIを薦めたいですね。 お金儲けって意味じゃ無いですけど、これからは技量の進歩ですよね。 すると、上手い人の操縦を見ても、そんなに参考になりません。でも、逆に素人の間違いを見ると、意外と勉強になりますよ。 Privateを持てる人は、他人がどれだけ否定しても、かなりの技量が有りますしね。

    操縦経験が極端に少ない人の操縦は参考になります。 下手な操縦を見て「馬鹿だ!」と笑っちゃうと単なるアホな教官ですけど、「なぜ、そんな間違いをした?」と考えて、そこから人の間違いから学ぶ事が多く出来るんです。 

    また教えるってのは、人を使うのと同じです。 相手の気持ちを考え、相手の視線で物事を考える。。。と他人の気持ちを中心とした考えが出来る様になると、色んな所でプラスになります。 

    それに「何度教えても分らんのか!」の様な馬鹿な発想も少なくなります。 答えは教え方が悪いか、相手の事を無視してるから何ですけど、 日頃、そんな考えを繰り返してると、生活の場面でも多く使えます。 仕事でも使えるますしね。

    そんな事で、私は多くの人にCFIを薦めています。

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  9. あれ、あれ、
    昨日、コメント書いたんだけど、消えちゃった。
    実は2度目。
    これって、良くあるの? それとも駄目な事を書いちゃったかな?

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  10. いただいたコメント、スパムに入ってしまっていました。前にも同様のことがあり、スパム指定を解除したので以後は大丈夫かなと思っていましたが、失礼しました。

    ギアレバーですが、M20Bは完全手動です。ギアダウンは、長い棒をえいやっと前に引っ張り出して固定しています。引っ張り出すのは良いのですが、最後に固定するためにバーを捻ってロックする動作が必要で、そこが鬼門です。着陸前ダウンウインドの忙しい時に、渾身の力を込めてやらねばならない(時として両手で)ので、なかなか大変です。最近は、だいぶ慣れてきましたが。M20C以降は、電動なのですか?

    CFIを取る意義については、とても納得します。ムーニーの慣熟&タイムビルディングで教官と飛ぶようになって、習うというより作業を分担するようになってきましたが、それでも他の訓練生と飛んだ時との違いを実感します。他の訓練生とだと、タスクの分担がどこかぎこちなくなってしまう所がありましたが、教官だとそれが全くなくスムーズでした。やはり教官は見るべきところを大所高所から眺めていて、こちらの足りないところをスムーズに補足してくれているのだと感じました。そうした、物事を一段階メタな視点から俯瞰する能力を見に付けることが出来そうですね。

    ただし現実問題としては、仕事との兼ね合いで、その前段階のコマーシャルも、飛行時間を確保するのが難しそうです。日本帰国日もほぼ決まっているので、コンプレックスとマルチでトレーニングは終わりかなと思っています。

    さらにはまって、分割渡米等になることがあるかもしれませんが(笑)

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